王女様は年中発情期!
ふと思いついたので、習作として一気に書いてみました。
エロコメに挑戦してみたつもりですが、全然なっていないかもです^^;
習作ですし、執筆時間が3時間半未満、恐らく3時間前後だと思う位なので、内容レベルは(察し
・誤字脱字の修正を、数回行いましたが、話の流れなどは変わっていません。
・謎ドリンクを魔法薬に変更しました。2014/12/03 00時頃
・いまだに残っていた誤字を修正。2015/04/19 23時頃
・『隊』を『団』へと変更しました。2018/08/15 20時頃
********
その日、エクレア王国第一王女、キャサリン・エクレア・スカーレットの結婚式が執り行われた。
婿入りし次代国王となるのは、近衛騎士団団長、ルイス・フォン・シュヴァルツシルトが長男、レナード・フォン・シュヴァルツシルト。
『強い獅子』の意味を持つ名の彼は、その名の通り鍛え上げた肉体を持つ巨漢であり、天使のような容姿のキャサリンと並べてみると、まるで魔王と生贄に捧げられた娘のようだった。
しかし、幸せそうに頬を赤らめ、潤んだ瞳でレナードを見つめるキャサリンを見れば、そんな心配は不要だと分かるだろう。
レナードも、獅子さながらの目付きながらも、口元は穏やかに微笑んでおり、相思相愛なのは間違い無さそうだった。
幸せそうな二人。普通ならば、祝福してそれで終わりだろう。
だがしかし、二人を眺める貴族達の視線には、多かれ少なかれ色の気配がしていた。
中には、小声ながらも「あれが種馬王なのか」と呟く、下級貴族と思われる者もいた。
そしてその認識は、あながち間違ってはいなかったのだ。
レナードは勿論キャサリンまでもが、早く夜になるのを――初夜の時間になるのを、一日千秋どころか一秒千秋な思いで楽しみにしていたのだから。
物語の発端は、今から16年前、キャサリン王女の誕生を祝うパーティーにあった。
********
その日、エクレア国王スティーブン・エクレア・スカーレットは、42年の人生の中で、最大の喜びに包まれていた。
33歳になる王妃、エリザベスとの間に、待望の第一子が生まれたからだ。
25歳で国王に即位すると同時に結婚して以来、実に17年もの悲願だったのだ。
国王の威厳など置き去りにして、子供のようにはしゃぎまわったとしても、無理はなかっただろう。
スティーブンは、ようやく生まれた我が子が幸せに長く生きるようにと、12人の魔法使いを呼んで、パーティーを開くことにした。
12人なのは、エクレア王国が元々、12の部族をまとめて建国されたことから、12という数字が神聖なものとされていたからだった。
12人の魔法使いと同等の能力を持つも、平民出身だった13人目の魔法使いの事など、誰にも考慮されることはなかった。
パーティーでは、国王の喜びの大きさを表すかのような、豪勢な食事が用意された。
出産で身体が弱っている王妃は参加出来なかったが、参加者の顔は皆、笑顔に満ち足りていた。
魔法使いたちも、王女であるため婿を取る必要があるとはいえ、王家の血統を次代に繋ぐ御子が生まれたことを、心から喜んでいたのだ。
宴も終わりに近付き、王女キャサリンの為に、それぞれ祝福を授ける事になった。
一人目の魔法使いは、彼女が長く生きるようにと、『健康』の祝福を贈った。
二人目の魔法使いは、彼女が子に恵まれるようにと、『子宝』の祝福を贈った。
三人目の魔法使いは、彼女が美しく育つようにと、『美貌』の祝福を贈った。
四人目の魔法使いは、彼女が騙されることのないようにと、『聡明』の祝福を贈った。
五人目の魔法使いは、彼女の代で国が傾かないようにと、『繁栄』の祝福を贈った。
六人目の魔法使いは、彼女の心が歪まないようにと、『純朴』の祝福を贈った。
七人目の魔法使いは、彼女が不運な事故に遭わないようにと、『幸運』の祝福を贈った。
八人目の魔法使いは、彼女が美を理解する心を持てるようにと、『芸才』の祝福を贈った。
順調に祝福は進んでいたが、九人目の魔法使いが祝福を贈ろうとした時、十三人目の魔法使いが、突如会場に姿を現した。
そして彼は、キャサリンに向かって呪いを放った。
「王女はとても淫乱で、毎日のように男を枯れるまで搾り取る女に育つだろう。
相手は一人では足りず、何十何百の男と交わり、父親の分からない子供を産むことだろう」
何が彼をそこまでさせたのかは分からないが、自身の生命力までも魔力に変えた呪いを王女に掛けると、彼はその場に崩れ落ちて死んだのだった。
国王は魔法使いたちに解呪を命じるも、彼らは口を揃える。
『魔法をかけた者が死んでしまっては、もう誰にも解呪する事は出来ない』、と。
国王は、そして魔法使いたちは、嘆いた。
こんなにも愛らしい姫なのに、そんな悪女になってしまうのか、と。
先ほどまでの明るい空気は一転して、暗くよどんだものとなっていた。
しかし、突如として九人目の魔法使いが、呪いを上書きしようと祝福を贈ったのを機に、他の魔法使いたちも、出来る事を祝福していった。
九人目の魔法使いは、彼女が不特定多数を相手にしないようにと、『一途』の祝福を贈った。
十人目の魔法使いは、彼女が理想の相手とめぐり合えるようにと、『運命』の祝福を贈った。
十一人目の魔法使いは、彼女が異性に興味を持つのが少しでも遅くなるようにと、『女色』の祝福?を贈った。
十二人目の魔法使いは、彼女が男を相手にせずとも満足できるようにと、泣きながら『自慰』の祝福――というより、最早呪いであるが――を贈った……。
魔法使いたちの機転により、最悪の事態は避けられたと安堵する国王達だったが、それでも大きな問題が残ってしまったのは事実だった。
また、九人目と十人目は、結果的には当初予定していたものだったが、急遽変更した十一人目と十二人目も、祝福をやり直すことは出来なかった。
魔力を溜める必要が有る為に、早くても数年~十数年は先となり、その頃となると性格は既に形成されており、意味が無いからである。
ちなみに、十一人目が予定していたのは、彼女が常に人の模範となれるようにと、『礼儀』の祝福だった。
十二人目は、彼女が臣民に愛されるようにと、『信愛』の祝福を予定していた。
********
キャサリンがかけられた呪いの事は、必死に隠されたものの、彼女が10歳になる頃には、既に広まり始めていた。
彼女と貴族達の人気を二分する美女に育つだろうと言われた、クレア・フォン・フロライトという少女がいた。
キャサリンは社交デビュー初日に、2歳年上のクレアを見つけると、唐突に唇を奪ったのである。
『礼儀』の祝福があれば違ったのかもしれないが、礼儀を忘れるほどにキャサリンは、クレアに惹かれてしまっていた。
キャサリン10歳、電撃的な初恋だった。
それから数年、キャサリン13歳クレア15歳の夏、二人が正式に交際を始めたという噂が流れるも、二人は否定しなかったのだった。
********
天使のような少女に求愛され続け、ついに絆されてしまったクレアだったが、交際一ヶ月で押し倒されてしまった時に、ある疑問を抱いた。
――何でキャサリンは、こんなに上手なの?!
クレアはその日、キャサリンが自慰歴5年という、衝撃の事実を知らされたのだった。
********
突然だが、王宮で働く侍女たちは、一部を除いて下級貴族の令嬢である。
その為、彼女達が嫁ぐと共に退職すると、嫁ぎ先でかつての職場の話が、時々話題に上ったりもする。
キャサリンが15歳になる頃には、その辺りから推測にまみれた噂が広がり、キャサリンは呪われた悪女なのではないかとさえ囁かれ始めていた。
国王57歳王妃48歳と、新たな御子が生まれる可能性が無くなっていた今、キャサリンを排除して新たな王家を!という流れが出来る可能性も出てきており、仕方なく国王は真実を明らかにしたのであった。
一方クレアも、2年間の間殆ど毎日のように、キャサリンに求められていた為に、いい加減同性恐怖症に陥っていた。
気を失うまで求められ、半日ほど経って目を覚ませば、また気を失うまで求められる。
キャサリンは『健康』の祝福のお陰で睡眠時間は少なくても大丈夫と言っても、いつ寝ているのかが不思議なほどだった。
そして、『聡明』の祝福を受けているはずなのに、恋愛面ではそれは発揮されていないようでも有った。優しくと頼んでも、数日で元の激しさに戻ってしまっていた。
無邪気に笑うキャサリンを悪魔と思いつつも、疲れ果てた身体を即効で元気にしてくれる魔法薬を、今日も飲み干すクレア。
毎日の情事のお陰か、元々整っていた容姿はとても色っぽく輝いていたものの、とても喜ぶ気にはなれないのだった。
********
そして転機の時は、キャサリンが16歳になる記念のパーティーの時だった。
パーティーがあるからと『我慢』されていた為参加できたクレアだったが、一人の男をみて、彼女は一目惚れした。
彼の名はレナード・フォン・シュヴァルツシルト。訓練狂でいつもパーティーはすっぽかしていたが、今日こそはと父親のルイスに、文字通り引きずられてきていたのだ。
一方のレナードは、初めて見るキャサリンに一目惚れしており、ここに三角関係が完成したのだった。
その夜、いつものようにクレアを求めるキャサリンだったが、恋の熱に浮かされていたクレアは、強く拒絶。
レナード様を好きになった、もう貴女とはいられない、と。
恐怖を堪えてそう告げるも、一途な淫乱娘から逃げられるはずもなく。
数日後には、レナードとキャサリンの婚約と、側妃としてレナードとクレアの婚約が、電撃発表されていた。
国王達は、このままじゃ血統が途絶えると悩んでいたところを、条件付きででも結婚しても良いと言われたのだから、このチャンスを逃がすものかと即決。
レナードも、キャサリン本人は気付いてなかったとはいえ、一目惚れした相手と、彼女に勝るとも劣らない美貌を持つクレアを共に妻に出来ると言われ、躊躇う筈も無く即決。
クレアの両親も、パーティーでのクレアの様子から彼女の感情を察しており、クレアの負担が減るというのも有って即決。
誰か一人位躊躇しろよと言うほどの即決祭りだったのだ。
『どうせ跡継ぎ産まなきゃいけないし、クレアの好きになった人ならそれで良いかなって。
これなら、レナードさんが増えるだけで、これからも一緒にいられるでしょ?』
そう笑って告げたキャサリンに、クレアは唖然としつつも諦めるしかないのだった。
********
午前中にレナードとキャサリンの結婚式が執り行われ、午後にレナードとクレアの結婚式が執り行われた。
そしてその夜、二人の、否レナードも加えて三人の初夜は、無事に終わったという。
ただし翌朝、元気そうなレナードと、歩き方がぎこちないながらも笑いながら寝室から出てきたキャサリンとは対照的に。
クレアは、丸一日以上もの間、寝室から出て来る事が出来なかったという。
終。
冒頭のキャサリン、初めての3Pを前に、発情していただけというね!←
そして名前は、
*人名言語変化対照表
http://www9.wind.ne.jp/chihiro-t/royal/henka.htm
を参考に、適当に決めました。
エクレアは、お菓子の名前から取りました。
スカーレットは真紅、シュヴァルツシルトは黒い盾、という意味ですね。
フロライトは、フローライトで、蛍石の事です。一応伯爵家のつもり。
王族と公爵は色の名前が、侯爵は色と何かを組み合わせた名前が、伯爵は宝石類の名前が、子爵は動植物の名前が、男爵(この国では、女性当主だと女爵)は祖となる人物の個人名が、家名となる……位の適当さですw
→スカーレットと真紅、ちょっと?違ったみたいです^^;
まぁ、深い意味はないので、変えませんけども。
そして、現実にも知人から子種を貰い、生まれた子供を一緒に育てるレズビアンカップルもいるそうですから、キャサリンの選択も、不自然ではないと思います。
2015/04/19 23時頃
『時代に繋ぐ』→『次代に繋ぐ』こんなのが残ってるとは思いませんでした^^;