そして(2日目に戻る)
気持ち悪い。その一言につきる。折角忘れたのに、また思い出してしまった。
秋の冷たい風が俺を突き刺す。
ずっと無かった事にしたかった。自分の父が殺された事など、それも殺した犯人は俺の親友の父親だなんて、考えただけでも吐き気がする。
「はぁ、はっ……はぁ、はぁ」
走り続けたからか俺の息は荒く、安定しない。そして「うぐっ……ぐぅぇええっ」俺はその場で本当に吐いてしまった。俺の近くを通り過ぎる人達は、引く事はあっても助けてくれる様子は無い。
人間なんてそんなものだ
父さんが突き落とされそうになっているときだって、きっとこんな感じだったのだろう。父さんを助けられる人なんて沢山いた筈なんだ。
それなのに、皆父さんを見殺しにしたんだ。
最低だ。最低のクズだ。でも俺も、そんなクズの1人だ。
「ふふ、ははっ!はははははははは!!」
「ふは!ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは……」
俺はその場で笑いだした。あぁ、こんな時でもそれは馬鹿みたいに青い。
全てを溶かしてくれそうな、そんな青。
目の前の信号機は、空とは正反対に赤い。機械の赤。全てを否定する赤。
俺はゆっくりと歩き出した「バスだ……」
それも、優介が乗っている親友だった男が乗ってる。犯罪者の息子が乗ってる。のうのうと生きている。
憎 た ら し い
駅員が鳴らす、騒がしく五月蝿いクラクションの音が俺の耳にまとわりつく。
信号機の赤
突き刺さる風
青い空
そうして俺はいなくなった
父を失い、家庭は崩壊に向かっていた。父を殺したのは親友であるところの優介の父親。そんな優介を、いつしか親友とは正反対に感情を抱くようになり、そんな自分が嫌で、毎日手首を切っては1人、泣いていた。
あぁリセット出来たらどんなに幸せか。
なにもかも無かった事になれば、また優介と親友になれるのに




