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来客
俺は今、なにもしていない。風呂から上がって、それからずっと、何もしていない。ベッドに寝そべり窓から見える青く冷えた空を見ている。孤独を煽る寂しさ、窓を開けなくとも伝わる秋の風を感じる。秋だ。何もしたくない。このまま、溶けてしまえたらどんなに楽だろう…。目がうつろになり眠りに付きかけたそのとき、部屋のインターフォンがなった。面倒だし居留守を使おうとも思ったが、インターフォンの鳴る回数が1回ではきかなかった事から訪問販売なんかじゃないと察した俺は、それでも客を招き入れる事も億劫に感じた。しかし相手があまりにもしつこくインターフォンを押すものだから、俺は根負けして渋々部屋を出た。急ぐわけでもなく、当然焦りもせず、俺はわざとらしくゆっくりとした歩幅で歩く。きっとそこら辺の子供も同じくらいのスピードだ。そして玄関のドアを押す。
「…はい」
「やあタケル君。急に伺ってごめんね?上がっていいかな」
「あ、どうぞ」
山中さんだ。山中さんは保健室の隣の相談室にいる人で、主に生徒の進路相談やちょっとした悩みを聞いてくれる人、つまり、スクールカウンターだ。




