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002  ミッション開始

「じゃあまずは職業決めね。」


「はあ。」


カタログの様な薄っぺらい冊子がテーブルの上に出される。


「どの職業がいいかなあ・・・。体格からすると剣士が1番いいと思うけど?」


「剣士ねえ。いいけどさ、ベタ過ぎない?」


「そうでもないよ。スレイヤー・ハンターの中じゃ職業は30ぐらいあるけど、剣士は3~4%ぐらいかな。」


「ふうん。じゃ、剣士にしよっか。んで、次は?」


冊子を閉じた。


「後はギルドカードの作成ね。これにチョチョイと書いたら終わるから。」


よく分からない言語で文字が書かれている。


「・・・あれ、分かんない?」


コク、と静かに頷く。


かなり不審な目で見られたが、読み書きを簡単に教えてもらいギルドカードを書いた。




「あれ、遅かったね。どうしたの?」


千夏はジュースの様な飲み物を片手に待っていてくれた様だ。


「いや、何でもないよ。」


「そう。んじゃ、次は装備を揃えなきゃね。」




街へと出た。


「そんなヘンテコリンな服じゃ動きにくいよね。」


昔の民族衣装みたいな服が主流のこの世界じゃ制服はあまりにも目立ちすぎる。


「記憶がないってことは、装備の意味も分かってないんだよね。」


「・・・はい、そうっす。」


「装備にはそれぞれ効果が付いてるの。力が上がったり、魔力が上がったり。」


あのド〇クエみたいな感じなのだろうか。


「魔力?何も知らなくて申し訳ないけど、名前からすると魔法を使う力のこと?」


「鋭いね~、そうそう。んで、剣士にしたんだよね。じゃあ、この服かな。」


服やらアクセサリーやらを山ほど腕に積まれたまま、更衣室に入る。




「・・・、これ?」


タンクトップにダボダボのズボン、天使のネックレス。


どう考えても中二病患者にしか見えない。


「そう。効果は・・・、どれどれ、炎属性追加・攻撃力UP・精霊の加護・・・だって。」


「それはいい方なのか?」


「ん~、上の下ぐらい。」


微妙なトコ突いてくんなあ、オイ!


「じゃあこれでいいけど・・・、金は?」


「これと交換したら大丈夫だと思うよ。」


そういって、制服のポケットから100円玉を取り出した。


「絵の書いてある紙っきれは使い物にならないけど、こんな綺麗に磨かれてる金属は高く売れるよ。」


「んじゃあ、それでいいか。この国のお金と交換してきてくれ。」


「いいよ。ここで待ってて。すぐに戻ってくるから。」


そう言って千夏は人ごみに飲まれていった。


1万円よりも100円玉の方が高価なのか。


この世界に来る前に両替してきた方が良かったかなあ・・・。


「おまたせっ。」


早い、早いよ。全く待ってないよ、俺。


「後は、武器を決めないとね。」


勘定を済ませてくれた様だ。


だが、小銭入れはまだパンパン、よっぽど100円玉が高価だったんだろう。




武器屋には見たこともない形の武器がズラリと並んでいた。


カウンターには、よぼよぼの婆ちゃん1人。


「あの・・・」


「どうしたんだい?剣士なら、そこの棚の上から3番目の大剣を買いな。悪いことは言わないよ。」


言われるがままにその大剣を手に取った。


見た目よりも軽く、握った時の感触もいい、バッチリだ。


「こ、これにします。」


「1500ルピーね。」


ルピー、というのがこの国の通貨単位らしい。


千夏が横から出てくる。


空婆(そらばあ)、お久しぶり!元気にしてた?」


「もちろんじゃ。そこの青年は彼氏かい?」


「そ、そんなんじゃ・・・。」


千夏が赤面しながら代金を払う。


その横顔が何とも言えず、また可愛い。


「まあいいや。千夏ちゃんは何も買わないのかい?」


「うん、まだいいや。ありがとね。」


「ありがとうございました。」


「気をつけてねえ。」




「これで装備は整ったんだけど、これからどうするの?」


「ん~、とりあえずこのまま手軽なミッションでも行ってみようかと。」


「じゃあ、これもなんかの縁だし私もついて行くよ。アイテムの準備もしないといけないしね。」


「おう、よろしく。」




「お帰り~。準備は整った?」


ミネルバ(だったっけ?)が受付で待っていた。


「もうミッションに出発するみたいで。道具は揃ってる?」


「もちろん!」


『初心者ミッション準備セット』と書かれたバッグを渡される。


既にこの国の言語も分かりつつあるので、書いてある文字も読めた。


「1番簡単なミッションって何?」


ミネルバはミッションボードを指した。


「右端の『ウォーウルフ』3体討伐ミッションかな。数も少ないし。」


「じゃあ、それにしよ。行こっか。」


「ああ。」


受付で荷車を借りた。


いよいよ、だな。


背中に括った、買ったばかりの大剣の柄を握りしめた。




日ノ原仁、初ミッション開始。

ようやく物語らしくなってきました。

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