表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/44

第三十話 冬季に吹く鉄風

グロリアが帰り、数日後──


都市同盟最北の街

スパルティア

そこには、最前線という鉄火場とは思えないほどの冷静な秩序があった。

しかし、王国を攻めんという熱気は本物であり、川の凍結している冬の間に砦を落とせる準備は既に整っていた。そして、今まさに都市同盟の評議会が始まらんとしていた、目的はは──


王国進軍


「ラバランめ、私を試すか?」

切れ長の目からはハッキリとした意志が伺え、鍛え抜かれた浅黒い肌は武人として崇高な美を体現している。都市同盟盟主、レオーネ・スパルティアが、ラバランからの手紙を受け取りそう呟いた。

「ラバランは、何と?」

「新辺境伯未熟、だそうだ。どう見る?シビラ」

そう振られ、側近であり、執務官のシビラが答える

「であれは、出陣には好機かと存じますが……」

その答えを聞き、レオーネは鼻で笑う。

「バカめ、本当に我々を動かしたければこのような曖昧な文はよこさぬ……さりとてこちらが動かぬというのもまた問題よ」

ラバランがオイゲン市に共同体を構えている理由の一つに、都市同盟への情報の伝達もあった。

最も、己の商売に影響を出さない範囲でだが。

その時、大声を上げレオーネの席に近づく影があった。

「レオーネ、この冬。二度侵攻のチャンスがあったぞ、二度だ!」

2メートルに届こうかという巨漢。禿頭に目が行くが、筋骨隆々としたその姿はレオーネが隣てば親と子供と見紛うほどの姿だった。

アレクス・ギラン。

都市同盟評議員、タカ派の一人でもある。

「一度目は、バカな辺境伯の娘の裁判!二度目はそのバカがの娘が辺境伯になった時だ!腰抜け!」

「アレクス」

息も荒いアレクスを、レオーネな努めて冷静に納めようとする。

「以前も言ったが、裁判の時はまだ川は凍っていなかった。しかし、歩兵の渡河作戦には水温が低い。辺境伯譲渡時は、ギュスターヴめがわざわざ南部砦に指揮しに来ていた。これで侵攻の決意をする愚か者は我等都市同盟には居らぬ」

レオーネの意見に頷くもの、顔をしかめるもの、半々

「レオーネ、俺は最初からお前がスパルティア指導者になるのは反対だった!わざわざ兵を集めさせ、やることと言えば演習演習演習!兵に無駄飯を食わせるのが長の役目ではない!一刻も早くホーホエーベネを落とし!侵攻の足掛かりを作るのが長の役目だ!」

アレクスの過激な意見に、会議に集まったタカ派は同意の声を上げた。

「長の仕事は、無駄に兵を失うことではない。秩序を持って都市を治め、好機を逃さぬのが真の指導者だ」

レオーネの声は冷静であったが、アレクスの演説は熱に浮かされたように止まらなかった

「今必要なのは!演習などではない!」

アレクスの拳がテーブルを叩く、分厚い木で拵えられていたが、その部分だけが陥没する

「演習等では民の腹は膨れん!我らに必要なのは!磨き上げられた穂先ではなく!王国の肥沃な大地!そして!麦だ!」

アレクスの演説はさらに過熱していく

「同士諸君!今我々がやるべきはなにか!腑抜けた王国の砦を落とし!今こそ!ホーホエーベネの土地を我らの手に入れることではないか!」

ウォォォォと、アレクス派の人間が声を上げる。

その雄叫びはテントを揺らし、地面を震わせる

「レオーネ様」

シビラが、顔をしかめ、声をかける

「わかっている……タカ派の空気抜きもいずれせねばならぬところだった、加えて……元々一度は藪をつつかねばならぬと思っていたところだ。」

「では?」

「必要最小限でよい、動くぞ」


都市同盟、王国へ向けて進軍

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ