第十四話 夢の終わり、戦いの始まり
傍聴席から人が去り、更に検事であるゲバルトも去ってしまった。困惑する裁判員たち。
「……裁判は終わりだ」
「は?裁判長?」
「……いや、裁判などなかった。無かったのだ。最初からな。」
裁判長は早く逃げたかった。ギュスターヴの瞳から、グロリアの瞳から、何よりゲバルト。
あの漆黒の焔から逃げたかった。
グロリアは、ただ立っている。微動だにしない。まるで、この世すべてに立ち向かうように
「……グロリア、終わったぞ」
ギュスターヴが声をかけると、糸が切れたかのようにグロリアは倒れ込む。
「いかん、ベッドへ」
「兄上!私が……」
ギュスターヴの視線に押され、動けない。
「グロリア……」
失ったのではない。去っていったのではない。ただ、先に進んだのだ。
夢を見た。裁判でゲバルトを打ち負かし、ハインリヒ様とキスをする夢だ。ギュスターヴ閣下が笑っていた。エスメラルダ様も笑っていた。父も母も皆笑っていた……
「……夢……か。」
私は選択してしまった。もう戻れない。一人で立つしかない。
「目が覚めたか」
ギュスターヴ閣下。世界を見る人
「はい。」
「立てるか。」
「はい。」
立ち上がる。多分、そのために私はここにきた。
「あれが、敵だ」
ギュスターヴ閣下が言う。敵。
ゲバルト卿……もっと先を見なければならない
「わかっています」
閣下が頷く。言葉はいらない。
これからの準備はホーホエーベネ領で行う必要がある。
力が必要だった。父や母を助けるためにも
「……私の名を最悪出しても良い」
「お気遣いだけ、頂戴いたします。」




