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第十二話後編 見えざるもの──騎士たちの選択
「ほんと、癇癪持ちのクソガキだったんだぜ、2週間ほど前まで。」
マティアスは、ゲバルトに立ち向かう少女を見て、人はこんなに短い時間で育つものかと訝しんだ。
「……時間など関係ないだろう」
「ハンネス……」
「使命と、決意が人を変えるのだ……」
ハンネスは自身の事を思い出す。
元都市同盟からの亡命者の血筋だった。
亡命した先、リブラ王国の契約魔法。削られる権利。
しかし立ち続けた。何故か。一族のため、家族のため。
「グロリア様は、俺よりも更に高いところに立っている。」
「成る程、な……」
マティアスは父の言葉を思い出していた。
貧乏子爵の四男。それがマティアス。既に領地はなく、名ばかりであったが、父は貴族だった。
「マティアスよ、目を養うのだ。あらゆる物を見、判断するのだ。そうすれば見えてくる」
「……何がですか?」
「見えないものだ」
「父上……」
家はもうない。しかし、教えは生きている。
「……俺達も進もう、ハンネス。ハインリヒ様を支えて。」
「無論」
動きのない裁判に飽きた貴族が思い思いに帰っていく。
しかし、何人かの貴族はのこっている。その視線が注ぐ先は
ゲバルト。そして、グロリア。
どちらにつくべきか、どちらを倒すべきか。
そして、更にごく一部が、ゲバルトを見た。国の、敵を。




