第7話 救いか試練か
小道を辿るうちに、森の雰囲気が徐々に変わっていった。これまで覆いかぶさるように立ち並んでいた木々が開け、空が広く見える。土の道は踏み固められ、ところどころに車輪の跡らしき窪みも残っていた。
「……やっぱり、人がいるんだ」
胸の鼓動が早まる。けれど同時に、喉が渇いたように重苦しい緊張もまとわりつく。ここで出会うのは本当に「人間」なのか――それを確かめるまでは、安心はできない。
さらに進むと、草原の先に木の柵が見えた。粗末ではあるが、確かに人の手で作られた防御柵。その内側には煙突のついた小さな家々が並び、屋根からは薄い煙が立ち上っていた。
「……村だ」
思わず声が漏れる。
森の中でずっと孤独に押し潰されそうだった心に、強烈な衝撃が走った。
だが、足はすぐには動かなかった。人に会えば助かるかもしれない。だが、異世界から来た自分をどう受け止められるのか。言葉は通じるのか。怪しまれて追い払われることだってあるだろう。
「……行くしか、ないよな」
枝を握りしめ、深く息を吐いた。震える足を一歩、また一歩と前に進める。柵の前には畑が広がり、鍬を振るう人影が見える。
その姿を目にした瞬間、太一の胸にこみ上げるものがあった。
人だ。自分と同じ、人間だ。
「……っ!」
言葉にならない感情が喉を詰まらせる。涙が浮かびそうになるのを必死に堪え、太一はその人影へと歩み寄った。




