第2話 目覚めと現実
目を覚ますと、木々の間から朝の光が差し込んでいた。湿った土の匂い、鳥のさえずり、風に揺れる葉の音――すべて昨日と変わらない現実そのものだった。
「……変わらないな」
違和感はあるが、見えるものは現実そのもの。まだ信じられない気持ちが残るが、これが今の現実だと自分は認めざるを得なかった。
しかし、その現実の中で、ふと気づく。目の前の景色や匂い、音……すべてが自分の知っている世界とは違う。この場所に自分がいるということ――つまり、異世界にいる可能性を少しずつ信じ始めた。
その瞬間、目の前に青い光の板がふわりと浮かび上がる。淡く光る文字が現れ、まるでゲームのステータス画面のように、自分の情報が映し出されていた。
【ステータス】
名前:山田 太一
種族:人間
レベル:1
職業:なし
体力(HP):100/100
魔力(MP):50/50
攻撃力:8
防御力:5
俊敏:9
知力:10
運:11
――スキル――
◆アクティブスキル
・なし
◆パッシブスキル
・〈言語理解 Lv1〉……周囲の言語を自動的に理解できる
・〈適応 Lv1〉……周囲の環境や習慣に慣れる速度がわずかに速くなる
◆ユニークスキル
・〈解析 Lv1〉……対象(物体・現象・生物)の名前と基本数値を読み取り、意識を深めれば性質や弱点も見える
所持品:なし
「……マジか、本当にステータスなんてあるのかよ」
信じがたい光景に思わずつぶやく。けれど、青い板に触れようとすると、すっと消えた。試しに「ステータス」と口に出すと、再び光が現れる。どうやら自分の意思で呼び出せるらしい。
自分の状態を確認しても、手足は問題なく動く。体力は満タンに近い。魔力という項目があるが、どう使うのかは見当もつかない。とりあえず“生き延びる”ことが最優先だ。
太一は、枝や葉を集めて簡易的な寝床を作ると、周囲の安全を確かめるために森を慎重に歩き出した。小動物の足跡、風の流れ、湿った地面。見慣れない自然の中で、一つひとつを確かめるように進む。
空腹を覚え、木の実をいくつか見つける。味見すると、少し酸っぱいが食べられそうだ。少しずつ集めて食料を確保する。夜になると冷たい風が吹き、焚き火が恋しいほど寒さを感じるが、何とか初日を乗り越えた。
不安と恐怖は消えない。けれど、それ以上に――“生きる”という感覚が確かにあった。




