追放された錬金術師、拾ったアイテムがチートすぎて無双する
「ギルドから追放だと!?」
錬金術ギルドの長老が声を荒げる。目の前にいるのは、他でもないエリオ。彼は錬金術の才能があると期待されていたが、どうにも周りとは違う錬金術を追求しすぎた結果、「役立たず」と見なされ、ギルドを追い出されることになった。
「お前の錬金術など、我がギルドには不要だ!」
そう告げられ、エリオは背中を押されるようにしてギルドの扉をくぐった。どこか気まずさを感じながらも、彼は追放されたことに不思議と悲しさを覚えていなかった。
「まぁ…一人で静かに暮らせばいいさ」
エリオはそう呟き、片田舎の村へと向かうことにした。
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村での生活は、案外悪くなかった。エリオは小さな家を借りて、ひっそりと錬金術を続けていた。村人たちからは「ただの追放者」だと噂されることもあったが、誰も彼を邪魔する者はいない。むしろ、静かな日々は心地よいものだった。
そんなある日、エリオは山中で偶然、古びた箱を見つけた。錆びついていて、一見ただのゴミのように見えたが、彼は興味をそそられ、持ち帰ることにした。
「これは…古代の錬金術の遺物か?」
家に戻ると、エリオは箱を慎重に開けてみた。中には、一つの不思議な石が収められていた。その石は青白く輝いており、触れるとほんのりと温かい。
「なんだ、この石…? まさかただの装飾品じゃないよな…」
彼は錬金術の知識を総動員して、その石を調べ始めた。すると、この石は「マナクリスタル」と呼ばれる、世界にほとんど存在しない超レアアイテムであることが判明した。
「す、すごい…! こんなものがこんな田舎で見つかるなんて!」
しかし、この石の力はエリオの予想をはるかに超えていた。彼が何気なくその石を錬金術の触媒として使った瞬間――
「うおっ!」
まばゆい光と共に、エリオが手にしていた材料が一瞬で強化され、伝説級の武器へと変わったのだ。
「ま、まさか…これ、チートアイテムじゃないか!?」
エリオは興奮を抑えきれなかった。今まで何度も失敗を繰り返してきた錬金術が、この石のおかげで一瞬にして成功したのだ。しかも、その成功具合は尋常ではない。
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翌日、村にモンスターの襲撃があった。村人たちは混乱し、エリオの家にも助けを求めてやってきた。
「お願いだ、エリオさん! 何か錬金術で手を打ってくれないか!?」
エリオはしばらく考えた後、昨日作ったばかりの伝説級の武器を手にした。
「まぁ、これでどうにかなるか試してみるか…」
彼は特に期待もせずに村の外へ出たが、モンスターが現れた瞬間、武器を軽く振っただけで――
「ギャァァァア!」
巨大なモンスターが一瞬で粉々になって消え去った。
「…えっ?」
エリオ自身が一番驚いた。モンスターは絶対に倒せないと思われていた強敵だったのに、あまりにも簡単に倒れてしまったのだ。
「まさか、この石の力…?」
どうやら、彼が手にしたマナクリスタルの力は、錬金術だけでなく、戦闘にも影響を与えるものだったようだ。これを使えば、どんな敵も一瞬で片付けられるほどの力を得られる。
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その後、エリオは村で英雄扱いされるようになった。しかし、本人は至って平静だった。
「いや、俺はただ、ちょっと錬金術をやってただけなんだが…」
それでも村人たちは感謝の意を表し、エリオを村の守護者として崇めるようになった。追放者だった彼は、いつの間にか異世界で最強の錬金術師へと成り上がっていたのだ。
「まぁ、静かに暮らしたかったんだけどな…」
エリオは苦笑いを浮かべながら、再び手にしたマナクリスタルを見つめた。その輝きは、まだまだ未知の力を秘めているようだった。
終わり