食べ物が硬くて良いことなんて一つもない
「はぁ、なぁんか良いことないかなぁ。」
わたくし木嶋淳[きじまあつし]ことあっちゃんは日々の生活に刺激を求めていた、とは言っても自分からは求めていく事はない、そう、私はダメ男なのだ、どれほどかと言うと髭がびろんと伸び、髪はマイケルジャクソンの幼少期を彷彿とさせるようなボサボサ髪、ごめんなさい盛りました…死んだ魚のような目をした、ひと目でわかるtheダメ男。
そんな私が作り出す、日々の日常における、可笑しくて笑えるような出来事や事件をこれから話していこうと思う。
「???…何これ」
「プリン作ってみた!」
私の彼女は自分が作ったというプリンを机の上に置いた。それはプリンと呼ぶには余りにも無理があった、スプーンでプリンを叩いてみるとコンコンと想像もできない鈍い音が聞こえたのだ、多分ゼラチンを大量に加えすぎたのであろう。
「い、いやぁ嬉しいなぁ、本当に食べちゃって良いのこんなの?」
「うん!どうぞどうぞ!!」
単に分かってないだけのおバカなド天然ちゃんなのか超がつくほどのクソサイコパス野郎なのか、どっちにしろ私にとってこの状況はカオスでしかなかった。
「マリちゃんも少し食べる?」
「ううん、さっき味見したから大丈夫!」
なんだ、さっき味見したのかよ…
って、は?これを!?いやいやいや、こいつは一体どんな家庭で育てばこんなワニガメしか食わなそうな金属プリンを食べることができるんだ。
「もしかして…いやだった?」
私が食べるのを躊躇っていると彼女のお得意技「万人ウケのぴえん顔」発動、そんな顔をされると断るにも断れないだろうに。私を見つめるそのつぶらな瞳は純粋無垢ゆえの代物なのか、はたまた脅迫に似たものなのか、段々と息切れや動悸が酷くなっていくのが分かる。
「いや全然嫌じゃないよ?それじゃありがたくいただくね!」
私はそのプリンにフォークを刺した、よくよく考えてみたら普通あり得なくないかプリンにフォークって…馬鹿じゃねぇの?しかもそのフォークでさえプリンの中まで刺し通すのは困難を極めた、もうこのプリンはゼラチンじゃなくて鉄でも溶かして混ぜ込んでんじゃねーのかとまで思い始めた程だ。私はやっとの思いでフォークを刺したその前代未聞の金属プリンに思いっきりかじりついた、ガキンッ!!!明らかに食べ物からは出るはずのない機械音が聞こえた。
(ん?)
プリンの味は全くせず、かわりに何か鉄のような味が口の中いっぱいに広がった。
「マリちゃん、このプリンに何入れた?」
「………」
黙り込んでいた、彼女の方に顔を向けると、ドン引きした感じで私に嫌悪感をかあらわにしたような表情をしてくる。
「ん?どうしたん?」
「あっちゃん、血出てる…」
私はその瞬間身体が強張った、恐る恐るプリンを口の中から出して確認すると、かじった部分に私の取れた前歯が挟まっていた…
その取れた前歯は後日「プリンを食べて取れた前歯」としてしばらく玄関先に飾っておいた。
はぁ、良いことないなぁ…