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第95話 共同作戦①

「リリスなのか? こっちに戻ってきたのか? 一体どうやって……」

 ナックルはキョロキョロと周囲を探った。

『ナックル? ナックルなの!? 嘘でしょ信じられない。良かった知ってる人で……』

「何がどうなってるんだ!? どこから話してる!」

『私達はまだポリアスにいるの! 父の装置を使って、語りかけてる』

「ハァッ!? どういうことだよ!? 剣なしでそんなことできるのか!? それかもう見つけたのか?」

『剣はこれから! 詳しくは後で言うけど、今すぐ王都に行ってほしいの!! ナックルならできるでしょ?』

「そらおめぇ、できるのはもちろんできるが……」

 ナックルが眼下に広がる王都の街並みにチラッと目をやった。

「今取り込み中だ!」

 そう言いながらナックルは、ヒラリと旋回してゴーレムが投げつけてきた大岩を避けた。

『こっちも急ぎなの! ポリアスの剣が、そっちにあるかもしれない!』

「何だって!? 確かなのか!?」

『サナダ子爵がこっちの出身らしいの! 持ってるかもって!』

「あのジジイか……」

 ナックルは、かつて王都で見たずんぐりむっくりな男の姿を思い浮かべた。

 どうにかして時間を稼ぐか……

 その剣があれば、このゴーレムもどうにかできるかもしれない。そもそも今、この怪物に対する根本的な打開策はないのだ。

「わかった」

 そう呟いて、ナックルはスピードを上げ、ゴーレムの頭の周りをグルグルと飛び回り始めた。キラキラと光る、ピンクがかった煙を出しながら。

 妖精の固有能力の一つ、鱗粉だ。

 ゴーレムの頭部がどんどん覆い隠され、視界を失ったゴーレムはジタバタとうろたえる。

 これでしばらく保つだろう。

 ナックルは王の城にワープした。


      ***


 王都は騒然としていた。

 城壁の外に見えるあのゴーレムに慄いて町の外に避難しようとする人達や、逆に王の庇護を求めようと城に殺到する人達でごった返している。

 玉座がある部屋では、モントール伯爵とサナダ子爵をはじめとした貴族達が難しい表情で議論を続けていた。

 そこにナックルが姿を現す。

「おい、何だ!?」

 部屋の外と同じく、場は騒然となった。だが一人だけ、平然と語りかける。

「ナックルか! ちょうど我らも出陣しようとしていたところだ。表のやつと戦っていたのは君だろう? あれは何だ?」

 モントール伯爵は以前ダミアンとナックルが王家の剣の代わりにナディアを新大陸に連れていくことになった時に面識があった。

「話は後だ。サナダ子爵ってのはあんただな?」

 そんなモントール伯爵をスルーし、ナックルは怪訝な顔のサナダ子爵の前に立つ。

「あんたの剣を見せてくれ」

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