表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/117

第62話 冥王vs魔王①

「せっかくジャックを殺したと思ったら、次はお前かアルハンブラ……」

「ふん……神のなりそこないが、偉そうな口を叩くじゃないか」

 アルハンブラは右手に冥王の剣、左手に死神の大鎌を持ち、魔王を攻めたてていく。

 剣も大鎌も、触れれば即死。魔王の剣でしか対抗できない。

 魔王は一度距離を取り、紫色のエネルギー波を放った。冥王は灰色のエネルギー波をぶつけ、相殺させる。

「ナックル! ジャックの身体を回収しに来い!」

 ジャックの亡骸の周りで、ピンクの煙が沸き立つ。


      ***


 ナディアが鍛えた腕力にものいわせ、リリスを運ぶ。ソラリスは軽く手を添えるくらいだ。

 この一団を、魔族達が狙う。ナディアが戦えない分ブルースがカバーするが、限界があった。

「あれ……? あの二人は?」

 ソラリスが呟く。ダミアンとナックルがいない。

 振り返ると、少し後方でダミアンが父親の方を未練がましく見つめていた。ナックルの姿は見えない。

「ほら、もう行かないと!」

 ソラリスが戻って手を引っ張る。

「何してる! 離れるんじゃない!!」

 ブルースが、二人を狙う狼男をヘッドショットで沈める。だが、もっと多くの敵が迫っていた。

「ムゥ……さすがにマズいぞ」

 ブルースが眉をひそめる中、ソラリス達の周りを何百羽ものカラスが飛び回った。

「!?」

「これは……」

 ブルースが口の端を上げる。

「メリルさん……」

「ママ!」

 ソラリスが、目の前に立つ、黒衣のその姿を見て呟いた。

「まったく……なんてザマなの。ほら、道は開けてあげるから早くお行きなさい。さ、ダミアンちゃんもここは危ないから一緒に。まだママ達はやることがあるから」

「う、うん……」

 カラスの輪が横に広がり、道を作る。

「すみません、ありがとうございます!」

 ソラリスは一礼して、ナディア達の方へ。

 メリルはブルースの方に目をくれた。

「ジャックのことは残念だった」

「互いにな」

 ブルースが帽子を軽く上げる。

「その子らは生かせよ」

「わかってる」


      ***


 メイディは戦場の潮目が変わっているのを感じていた。道の先では大きな力がぶつかり合い、魔族達は自然とそこを避けるように動いている。

-----------------ここにこれ以上いるのは危険だ。ロマーナと合流しないと。

 メイディはしばらく顔を合わせていない同胞のことを思った。

 戦い方が最も派手なのはジャックだったが、次いでロマーナだ。一目見れば、そうとわかる。

 数百メートル向こうで、粉塵が上がった。あれだ。

 メイディは一直線に、そこを目指す。阻む敵は容赦なく薙ぎ払った。

 自分に近付く、気配を感じる。

 メイディは長棒を振り回し、間合いに入った瞬間にいつでも脳天を叩き割れるように備えた。

「お、おいちょっと待てよ! 俺だ!」

 聞いた声に、メイディの動きが止まる。そこにいたのは、ニックだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ