第122話 機械戦争⑦
「あっちに戻る!? どういう事です?」
そう言いながらサムは、車椅子に仕込んだ拳銃のグリップにそっと手をかけた。
「おいおい、別に変なことを考えてるわけじゃないよ」
父、ギースが慌てる様子もなく言う。
「せっかくここまで深く潜入できたんだ、それをみすみす打ち捨てたらもったいないだろう?」
「何ですって!? やめてください危険すぎる。せっかくこっちに生きて戻ってこれたんだから。戻ることなんてない」
「エリーを完成させて、私の人生の目的は全て達した。あとは次の世代のために動くさ」
「貴方はいつもそうだ。ずっと人のために生きている。少しは自分のために生きたらどうです?」
「エリーとお前のために生きることが、自分のために生きるということだよ」
「……もう良い、話は後です。とりあえず、あいつらを止める気はないんですね? なら僕達の方で潰しますよ?」
「ああ。大体あれくらい軽く対処できるようにならないと魔王の軍勢には到底太刀打ちできないぞ?」
「そうやって昔から僕を試そうとしてくるところ大嫌いでしたよ。まぁ今は最高に機嫌が良いんで」
そう言ってサムはモニターに目を戻した。
「別に良いですけど」
***
…… なんで効かないの。
アルマデランは強い。そんなことは分かっていた。でも、パワードスーツを使ってもまだ届かない。アラネスはそれが悔しくてたまらなかった。
力任せに何発頭部を殴りつけても、アルマデランが動きを止めることはない。一人にずっと手こずっている。周りではどんどん爆発が起こっているというのに。
そんなアラネスの元にドローンが二機飛んできた。援護するようにアルマデラン相手にビームを浴びせる。だが既に分かっている通り、その威力はせいぜい人工皮膚を剥ぐくらいだ。
「何!? 憐れみのつもり?」
アラネスがドローンを睨みつけて叫ぶ。すると一台がアラネスに近付いてきた。よく見ると、その期待にはナイフが貼り付けられている。
『思い出せ。君は一度勝っている』
サムの声がした。
「……確かに」
アラネスはそのナイフを勢いよく引き剥がした。
***
苦悩するアラネスをモニタリングしていたサムも、頭脳をフル回転させて対抗策を練っていた。
すぐに思いついて勢いよく両親の方を向く。
「ナイフ、ありったけのナイフをここに。置き場所は変わってないから」
***
アラネスはナイフをアルマデランに向けて投擲した。パワードスーツの人工筋肉のおかげで既に人知を超えた速さだ。だが、これでも足りない。間髪入れず咆哮を叩き込んだ。あの時と同じように、ナイフがアルマデランの身体を突き抜く。唯一違うことは、その身体が爆発したことくらいか。
アラネスの元には、ドローンによって次々とナイフが運ばれてきていた。
「さぁ、一気に終わらせるよ」




