第108話 ガールズスクワッド③
「アラネス! こいつらは何!? 貴方達のお仲間じゃないの!?」
目にも止まらぬ速さで戦い続けるナディアさんの鋭い声が飛んだ。仮面が割れても、敵は全く怯んでいない。
「わかんないよ! でも、私達が使う装飾によく似てる……」
アラネスの言う通り、首にかかった豪華なネックレスをはじめ、アマゾネスの人達と同じような恰好をしている。違いと言えば仮面と、その中の顔にびっしりと入ってる……刺青。ボディペイントじゃないよね……?
「ふん! 頭が高いわ!! 我々こそが真のアマゾネス。ここにあらせられる正統皇帝アルマデラン様がこれよりこのアマゾニアス島を……支配する」
戦闘を見ている一人が前に進み出て、そう高らかに宣言した。
そして、奥にいる一人も仮面を取る。
「似てる……」
私の隣でソラリスが呟いた。
そう、似ているのだ。アラネスに。完全に一緒ってわけではないけど、もう少し、大人にした感じ。
「アルマデラン!? 先々々代皇帝の名じゃないか! デタラメ言うんじゃないよ! 戦争の時に死んだはずだ!」
アラネスが叫ぶ。
「ほう……教育がなっていないようだ。不届きなやつらだ……」
アラネスに似ている人が口を開いた。声も少しだけ、アラネスに似ている。
「我らに付き従う者は生かしておいてやろうと思ったがやめだ。皆殺しにしてやる」
ゾワッとした。
「あなた達、逃げなさい!」
ナディアさんが叫ぶ。それまでの相手との戦闘を無理矢理終わらせて、私達の近くまで飛んできた。そして何かをナイフではたき落とす。これは……矢?
私達は走り出した。倒れているガザリーナさんの方へ。
「何してるの! 早く逃げなさい!」
「皆で一緒に!!」
「……おばあちゃんをお願い」
そんな私達を見て、アラネスが言った。立ち上がって敵達の方を向く。
私達を護るかのように、その横にナディアさんが並んだ。敵の方に視線を向けたまま、私達に告げる。
「ガザリーナ殿を連れ、できる限り遠くへ」
「アマゾネス!」
その横でアラネスが強い口調で呼びかけた。
「動ける者は全員、負傷者を連れて退避! 救護と、皆を集めて迎撃の態勢を取れ!」
「ですが、こやつらは!?」
アマゾネスの内の一人の人が、信じられないといった顔でアラネスを見た。
「良いから行け!」
「危険過ぎます!」
「お前達を護るのが……皇帝の仕事だ」
「……ですが!」
「早くしろ!!」
初めて聞くような声色。そして、さっきと同じ感覚がした。ゾワッとする。
私達は一斉に動き出した。