兄妹
まーくん。
僕の2つ年上で、僕より背が低い男の子。
小学校は同じだったけど、一度も話したことはない。
みーちゃん。
僕の2つ年下で、とても小柄な女の子。
小学校が同じだったけど、一度も話したことはない。
僕の小学校に、上履きをはかない、いつも裸足の兄妹がいた。
二人はとても物静かで、目立たないようにひっそりと過ごしていた。
そういえば、二人の話し声を聞いた記憶がない。
そんな兄妹は、事故で両親を亡くしていて、おばあさんと暮らしていた。
その家は、今にも崩れそうで、何だかこちらが申し訳ない気持ちになるほどだった。
僕はずっとその兄妹と友達になりたかったけど。
狭い子供の世界では、やっぱり皆から避けられているようで、声をかける勇気が持てなかった。
いつも遠目に二人を追っていた。
いつも二人はしっかり手を繋いで歩いていた。
まるで、世界には二人だけしかいないように感じて、とても崇高な気がしていたんだ。
結局、おばあさんも亡くなって、二人は卒業前に転校していってしまった。
あの時、勇気を出して友達になっていたら。
ずっと後悔していた。
それ以来、今日よりも明日は少しだけ優しい人になりたいと思っている。
でも、それはとても難しいことで。
あの頃より良くなっているのかは分からない。
たまに実家に帰省すると、ついつい見に行ってしまう。
不思議なことに、あの崩れそうな家は、今でも崩れずにずっと空き家のまま残っている。
誰もいなくなった家の前に、昔の自分を見つけた気がした。
その場所だけが、時代に取り残されて、あの頃の時間が流れ続けている気がするんだ。