とある一夜
「今回のイベントはマジで成功させなけりゃならないからな!不備があったらすぐに言えばよ怒らないから」
「はい……」
しかしこういう時に問題を出して何も言わないで自分で解決しようとするやつがいるのが問題なんだ、事実そういう奴は本当に使えない奴ってレッテルを張られるんだからな。まぁ知ったこっちゃないが。
「それで今回のトーナメント戦に使用するVR機は出来てるのか?」
「んふぅ」
「いやんふぅじゃねぇんだよ喋れよ」
「いやまぁほとんど完成してるよ一応」
「一応……?」
とりあえずどんなもんか見に行くか。ウチの会社の社長、普段は優しいけどミスするとマジでブチ切れるからな……それでこの前使えない奴らが一斉リストラされた。……哀れな。
「それでこれがその?」
「はい。完成度は九十八%くらいですが……」
「百にしろ」
厳しいことを言うようだが、ここで百%が出せない奴に何もできる訳が無いのである。そもそもこいつ一回やらかした前科があるんだよ、その時は俺らもついでに粛清対象にされかけたからな。
「はぁ……」
「確実に、だ」
「へぇ」
そもそも今回一日目の企画よく分かんねぇんだよな……これ要するに単なるボクシングなのでは?ダメージがほぼない奴。もし仮に調整をしくじったら人が死にます。マジで……
「それで?ここからどうするんだ?」
「まぁ単純に最終調整はダメージ系の機械ですね」
「なら俺も付き合ってやるから早くしろ」
「へぇ」
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「いやごめん!遅れちゃったよ!」
「遅いですよ食我さん……」
「いやーごめんごめん、メイドに風呂をゼリーに変えられてさぁ……全部食わなけりゃ出れないんできつかった!」
「……普段から思ってたんですけどよく解雇しませんね?」
「好きで雇ってるからね!」
にしてもみんないい感じに進んでいるようで結構!……けどなんかあっちから変な気合を感じるなぁ……何やってるんだろ?
「はーい社長でーすって何!?」
「あぁ社長……実は今ちょっと問題が発生しまして……」
「これ大丈夫?ねぇ何があったの?」
今目の前に死体モドキがあるんだけどなにこれ?血とかは出てないから問題なさそうだけど死んでない?脈あるかな?あぁあるわ……いやここで何があったの?
「とりあえず簡単に言えば……ダメージをリアルに再現しちゃったせいで脳に激しいダメージが……ですね」
「えっ何それ怖い……。今すぐ直せ」
「ハッ!」
救急車……は、今はダメそうだな。とにかく今は一旦この機械を修理してこいつを外さないとね……全く、後一週間だってのに面倒ごとばかり増やして……
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「俺そんなにあいつに飢えてたかなぁ……」
毎日のように一緒に寝てたせいなのか隣に誰かいないとまともに寝れなくなってしまった……以前は大丈夫だったのに今となっては何やらもう……
「そのせいで余計にゲームの腕だけが上がっていく……」
寝不足。これをどうするべきなのか……ふーむ……誰かと一緒に寝るとかか?でも家にいるのはネカだけだしなぁ……。まぁこの際選んではいられないか。
「おーいネカ。ちょっと来て」
「どうしたの兄さん?」
「一緒に寝てくれ」
「いいの?!」
「え、いやうん、いいんじゃないの?」
「やったー!」
あっなんか凄い表情してる。大丈夫なのか本当に一緒に寝て……にしても案外すんなり応じてくれたな……よし、これで寝るとするか。
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「あー疲れた……」
「だなぁ……」
なんだかんだ調整自体は上手くいってるが……それで勝てるとは思えない。新技も思いついたが……コレ大丈夫なのか?あいつに通用するか?
「ねぇ、ロメジュ。園歌に勝てる?」
「知るか。あいつがクッソ強いのはお前も知ってんだろ」
「……だよね……」
あいつはもう人じゃないのかもしれないなぁ。もはや戦闘マシーンなのかもしれない。だってそもそも凄い強いしヤバいし遊びで余裕な表情をしながら蹂躙していくからな……
「だが、調整は完璧だ」
「じゃあ……勝てる?」
「それは分からん。やってみなけりゃな……それに、戦えるかすらも分からないんだ、それを加味すれば……俺が奴と戦い、なおかつ勝利する確率はもはや一割を切る」
「……」
「だが俺は負ける気はないんでね。いつだって勝ちに行くに決まってるだろ?」
「……だよね!」
「任せな、俺は強い」
「まぁいいや頑張ってね!!」
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「……そう言えば父さんと母さんはいつ来るんだろ?」
そう言えばホテルの事を言ってなかったよなぁ……どうしよ?今からでも話しておこうかな?……と言うより今どこにいるんだろうね?
「おっなんかスマホが凄い震えて……」
……あっ妹と一緒に寝てる……そしてこれは……もしかして結構ヤバいんじゃないの?




