かねてより望んでいたコト
「……」
なんか変な奴がいる……またかよ。今度のはなんか三角揚げ食いながら走ってる奴が……あ?アレ宮城じゃね?おいマジかよ宮城じゃんちょっとおい追うぞ!仙台駅に向かってんな今の方向は!
「おい宮城!」
「えっ何……あっ!園歌だ!」
「何誰の事を言ってるんだ!?」
「ごめんちょっと待って今知り合いと会ったから!」
こいつの名前は東北宮城。緑色の髪にデカい胸が特徴。しかし下心ありで話しかけようものなら余裕で骨を折られかねない。ハッキリ言ってもし仮にプロのボクサーがいたとして、そいつのガードを余裕でぶち壊しながらマウスピースごと顎をぶち抜くような奴だからな……
「園歌久しぶり!元気してた?」
「まぁな。……そっちは何やってるんだ?」
「今大阪と一緒にゲームの大会?に一緒に行くところ!」
「まだ大会はやってないけどな」
とは言え残り一週間程度。ここからが追い込み時期……!と言う訳なのかルーもシーもディグも今ホテルに泊まってる。……俺の家こんなに広かったんだなぁとか、そう思ったな。……寂しいな。
「それでそれで?今は何してるの?」
「俺ぇ?俺はまぁ……大会に出ようとしてるな」
「へー!凄いね!私は一日目の『リアルファイトクラブ』ってイベントに出ることになってるんだけど、その大会ってあれだよね。最後の最後、メインイベントだよね!」
俺の知らないところで変なイベントが増えてるんですけど……と言うか普通にデートしてもいいのかもしれないな。ルーと。乗って来るかはあいつ次第ではあるんだけどな。
「そうだな。……と言うかお前何その……何?」
「えっこれ?あぁ、よく分かんないんだけどリアルボクシングするんだって」
こりゃ迷走してんな……実際デカいイベントになるとネタ切れが激しくなる事もあるんだよなぁ……ま、俺はただ大会に出るだけだけどな……
「そう言えば大阪は?」
「そこで息切れしてる」
あぁこいつか……死にかけてんじゃん、そんなに走ってないだろ……いや、俺らが基準になってはいけないんだろうな……俺らって全員どいつもこいつも体力お化けばっかりだし……
「あのなぁ……走るな……よ」
「ごめんね!とりあえず美味しい牛タン屋の店あるからそこに行こ?」
「今は何喰ってもゲロ吐く気がする……止めてくれ……」
だろうな。凄い顔だぞこいつ……青ざめてんじゃん完全に。そんなになるまで走って来たってそんなに距離ないだろ!そんなんで死にかけてるのはもう駄目だろ!職業何?
「ゼハー……ゼハー……おい、水くれ」
「はいよー」
「ウゲッゴバッジョバッ」
「水を飲んでいる音じゃない……」
大丈夫?ソレもうゲロってない?リバースってレベルじゃ無くない?
「はー……十分治った」
「本当に?」
「あー悪い……俺の名前は『関西大阪』探偵だ」
だとしてもそこまで死にかけてるのはもう……ネ。
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「うーん……」
十連勝してきたけど全然駄目だ。これじゃ勝てない。私がここに来て絶対にしたいと思ったことが『カエン』に勝つという事だった。世界大会の対戦チケットを手に入れ、そして園歌と戦うことになったとして……恐らく今じゃ勝てない。
「……」
だからと言って他の奴に負ける気はこれっぽちも無いけど……ね。それにたまに戦って勝つことはあるけど、それは実質園歌に勝ってるだけ。やっぱりカエンに勝ちたい。この手でカエンを倒す、それが私の目標。
「よし。こんなもんかな……」
とりあえず持ちキャラは決定した。後はただひたすら技術を高めるだけ……って電話だよ……誰からだ?
「ハイもしもしデス」
『久しぶりだな我が娘よ』
「父さん?!」
なんで電話してきてるの!?時差とか大丈夫なの!?
『あぁそうだ、そっちはどうだ?』
「まぁ大丈夫だよ!そっちはどう?」
『こっちは母さんがうるさいんだよ、電話を渡したら二時間は話し続けそうだ』
「うわぁ……お金なくなっちゃうね」
母さんは好きだけどちょっとうるさいんだよね……特にゲームの大会に出ることをだいぶ嫌ってる感じでねぇ。毎回うるさいのホント。理由も『あなたみたいなのが出たらみんな求婚しに行くでしょ!』だって、私の恋人は園歌一人なのに。
「あっ。そう言えば言ってなかったけど……」
『どうした?』
「私、結婚するから!」
『……あー聞こえなかったな、もう一度言ってくれないか?』
「こっちで好きな人が出来たから結婚する!」
『はあぁぁぁぁぁ!?おい今すぐ行くぞお前!』
「ちょっ、そんなにやらなくても……」
『もう飛行機の予約入れたからな!どこのどいつだ私の娘に求婚などした奴は……!』
「あの……」
『じゃあ待ってな!』
……どうしよ……なんだか大変なことになっちゃった……ま、いいや!それならそれで認めさせてやるから!
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「……」
ルーとは結局ダブルス戦で決着を付けられなかった。……それにカエンとの戦いも中途半端に終わった。……結局今回の戦いでケリをつけるしかないのだろう。
「よし」
そう言えば園歌って私と同じ髪の色だね。考えたことも無かったけど。まぁそう言う事もあるかもだけど……うーん。
「ま、別にいいか。それより今回はどのキャラで行くか……」
ん、家族からの電話だ着信拒否っと。
「よし」
絶対に今回の大会はベストエイト入りする。前回は結構散々な結果だったから……ネ。しかし盛り上がってるなぁ。ここは日数指定の固定料金だからそんなに高いホテルじゃないけど、そうじゃなかったらとんでもないことになってたかも。