肝試し(丑三つ時
「……」
お腹すいた。今四時。誰も起きてない。なんか作ろ。冷蔵庫……。中身全然無い。でもなんかある。
「お肉だ」
お肉は美味しいけど、深夜に食べる物じゃないよ。卵とか無いのかな。……シリアルがあった。なんでシリアルが冷蔵庫に入ってるんだろ。
「これでいいや」
ざらざらー……で牛乳。美味しい。
「んー……」
園歌は基本的にずっと寝てるし……ルーは早く起きてくるけど六時くらいだし。ディグは知らんし。なぜか一緒に寝てるネカはそんな起きないし。この時間に起きているのは私だけ、と言う訳。
「テレビ……」
砂嵐ばっかり。後はニュースとかつまんない奴ばっかり。なんでこんな時間に起きちゃったんだろ。でも今から寝るにはもう駄目。寝れないの。さてどうしよ。少なくとも今はお腹いっぱいだし、そんなに面白い事も無いし。
「……」
やっぱ寝よ。無理だこれ。という訳で戻ってきた。ここが私が寝てる部屋。一人部屋。よしネカと寝よ。さっきまで一緒に寝てたし。
「お布団」
「ん-……なにー……?シーちゃんー?」
「寝る」
もぞもぞ。
「もー……寝たいなら言えばいいのに……ほら」
「お休み」
ネカは暖かいなぁ。
「あー……」
私もこんな家族が欲しかったなぁ。
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「よぉ食我」
「……出たわね」
骸には二人種類がいる。死装束を着た方と着てない方である。今回食我の前に来たのは着てない方。どっちにせよ嫌いな奴である。
「んだよその顔はよぉ……嫌い?」
「あぁ」
「そんなに言わなくてもいいだろう?食我」
「お前は疫病神なんだよな、おい白桃塩」
「はい」
白桃に清めの岩塩を持ってくるよう指示する食我。少し奥に行った後デカい岩塩を持ってくる白桃。
「いや塩って……岩塩!?」
「これで殴ります」
「止めて!流石に痛いのよ!?」
「黙れ骸。そんなんだからお前は嫌われてるんだぞ」
「あぁそれは……厳しいわね」
「……で?何の用だ?」
岩塩をガリガリしつつ、何をしに来ているのか聞く食我。骸はと言うとそれを面倒くさそうな顔をして見ていた。
「簡単に言えばこの前さ、ゲームの大会あっただろ?アレに出た園歌って奴が……俺がひょっこりしてる会社の社長さんの息子らしいんだよね?」
「……」
「でな?その結果今ちょっとうるさいんだよな社長さんが」
「はぁ……俺に何とかしろ、と?」
「そう言う訳じゃないけどな!でまぁ色々言われてるからちょっとアイツに釘刺した方が良いぜ?」
「……善処する」
何を善処すると言うのだろうか。ともかく面倒なことになっているのは確か、なぜ園歌が死んだことになっているのか、なぜ骸がその会社に潜入捜査しているのか、色々と聞きたいことはあるが今の食我からすればとっとと帰れと言う感じである。
「そうしてくれると俺も助かるよ!」
「……おい」
「何?」
「最近どう?」
「……ボチボチだな」
「そうか」
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「……」
いやな夢を見た。前の私の家の夢。毎日ひどい事ばかり言われた。凄く辛くて厳しい毎日。汗でびちゃびちゃ。
「あぁシーちゃんおはよ……って大丈夫?!」
「ん。平気」
「平気じゃないよその顔……ほら、シャワーでも浴びよ?」
「ん」
「えっ一緒に?……まぁ、いいけど」
でも今は隣にネカがいる。だから大丈夫。
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暇だなぁ……。そうだ肝試しでもするか。
「と言う訳で肝試し大会をします」
「はぁ……」
「なんで?」
「私は構いまセンよ!」
「……」
今日は俺主催の肝試し大会が開催されます。一言で言うならあのよく分からん夢を見た境内から少し行った所にある石碑に触れてくることが条件です。と言う訳でパーティ選出!
「まぁお前が一人になると思ってたけどさ」
「これはひどいと思うんだけど!?」
まぁ今俺の家にいる奴全部含めたらこうなるよなぁ……しょうがない、誰か連れてきてやるとするか……誰かいるかなぁ……あっいた。
「ほら、境内にいる巫女の姉ちゃんと一緒に行ってきな」
「……いや、なんでいるんだよこの時間に……今十時だぞ?」
「巫女だし」
「それは答えになってないんだよなぁ?」
「まぁいいじゃん、よーしイクゾー!」
なーんてね。実は今回俺らが仕掛け人なのである!ルーと共にこのクソ熱い夏の夜をひんやりさせてやろうという事なのである!はっはっは……さてとりあえずディグをどうするか……
「んじゃ俺ら先に行くから」
とりあえずこっからはちょいと気になるところがあってぇ……それがまぁ何というか……ここ、出るんじゃないかって事。妖怪とか幽霊とかそう言うヤバい奴……がね。ま、気にしなくていいか!
「よーし早速罠を仕掛けに行くとしよう!」
「そう言えば石碑はどこにありマス?」
「ほらそこ」
「……なんか近くないデスか?」
「遠いと俺らが面倒だし……」
と言う訳でまずは霧をドライアイスで出します!これで雰囲気を出して……このこんにゃく棒で顔にべちょっとするのだ!よく見るね!
「さて静かにしまショウ!」
おっと誰かがやって来た……あのちっこい見た目はシーだな。あいつ勘定薄いからなぁ……でもやっちゃう!おら行けこんにゃく!俺のテクニックを見せてやる!
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「怖いねシーちゃん!」
「ん」
「それにしても石碑って……アレだね。なんかチープな感じがするけど」
「気にしない」
「だね!じゃあ早速触って帰ろう!」
(こんにゃく君がシーの背中にペター)
「にゃっ!?」
「えっどうしたの!?」
「背中が変な感じ」
「えっどういう事?」
(ネカの顔にこんにゃく直撃)
「アッ!」
「……誰かいる」
「ねぇちょっと!?今の何?!」
「早く帰ろ」
「うぅそうする……」
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「大成功だぜーッ!」
「いぇいイェイ大成功デス!」
「じゃあ帰るか」
「えっディグには……」
「まぁ、どうせ一人で行くんだし雰囲気だけ味わってもらって帰ろう」
「……まぁ、確かにどうでもいいデスからね」