決勝戦『この名は地獄』
『アレちょっと待ってくださいね……あれは……』
『あっただいま情報が入りましたよ!今回は特殊ルールが適応されてます!』
『なんだって!?で、なんだ?』
『強敵エネミーが自然発生するルール……『ネガティヴ』です!』
『するってぇと今愛の前にいる奴が強敵エネミーッて……コト!?』
『ちなみにペンス選手も相対してます』
「いや硬ッ!?」
「KKKKKKK」
「やべぇ逃げろ!」
うわぁあいつの一撃でビルが真っ二つになっちゃった!バカ野郎誰だよこんなバケモン召喚したのはよぉ!?あっちでもなんか凄いことになって……なんだぁ?!えっ複数体存在するのぉ?!
「えっまだいるのか!?」
「クソッ狂ってやがる」
「おいそっちは何があった……あぁ分かった」
うーんもしかしなくてもこれレイドボスが召喚されてんな?つまりルールはネガティヴって事、こいつらはほっといても構わないけど普通に戦闘にやってくるから面倒って事だよ!
「で?協力する?」
「本当は戦うはずだったけど、協力するのは尺だけど、こいつらに勝ってからでも決着をつけるのは遅くない。さっさとケリをつけるぞ」
「了解!」
『おーっとここで敵である二人が手を組んだ!』
『実際問題アレ一体でもいるとマジでどっちもアレに倒されて引き分けって言うのが何回かあったしなぁ……一人で倒させる気ないよね?』
『うん、一回勝ってたのに普通にあいつに倒されてから本当に許す気はないって感じだよ。しかも敵対関係なのに協力させようって魂胆が見え見えだよ』
『あー……今度飯でも食いに行こうぜ』
『そんなことはともかくですね、今回の相手は『KILL』と『スラッグ』ですね』
『普通に殺しに来る方と搦め手ばっかのウザい奴か……キツイなぁこれは』
『しかしまだマシな方では?KILLはともかくスラッグは搦め手以外だとクソザコですし……』
『だよなぁ……』
「だらっしゃぁ!」
KILLの方はこっちが抑えると言ったけどさぁ!一人じゃやっぱきついってこれ!割と掠ったら致命傷になりかねない一撃ばかり撃ってくるんだけど!まぁなんとかなるか!?
「っと、あっちは平気そうだな」
しかしホーク・ブレイドか……凄い使いやすいキャラだね、矢を飛ばすってだけの能力はヤブサメに似てるけど、あっちは矢に特殊能力は無い、その代わり……早い!野良で出会ったあいつなんかと比べ物にならないくらい強い!
「スラッグは毒液さえ凌げばぬるいってそれ一番言われてるから」
もうスラッグが瀕死状態じゃん!でもあれ倒したら今度はKILLと戦わないといけないんだよなぁ……えっ大丈夫?多分KILLの奴普通に羽弾く可能性あるよ?
私が小さい時から私の兄さんは働いていた。小さいときはなんでだろうってずっと思ってた。そして大きくなってお兄さんはあのカスと喧嘩して家から出て行ってしまった。その頃には私はギャルモデルとして働きだしたから一人で暮らしていた。
お兄さんが家を出て行ってから、ずっとどこにいたのか分からなかった。後父親を自称する奴が家に来たりした。なんかキモかったんで帰ってもらった。凄いムカつく奴だった。兄さんが見限る訳だと思った。
「兄さんが目の前にいる。私の前に」
「えっお前自分の事ウチって言うタイプの奴じゃなかったっけ?」
「……そうだね。だけど私はもう自分を偽る事をやめる」
「ちょっと待ってどういう事……?」
私がここに来た理由はただ一つ。一度でいいから兄さんと……本気で戦ってみたかった。ずっと気になっていた、兄さんが何をしていたのかが。……ゲームをやってる兄さんは、とても楽しそうだったから。
「……来い!兄さん!」
「なんだか分からねぇけど……それなら本気で行くぞ!いつだって俺はマジで本気で戦ってるからなぁ!」
『遂にカエン選手とランス選手が戦闘を開始した!』
『しかし何というか……凄い威力だなあの一撃……さっきから当たった場所に穴が開いてるんだけど』
『ちょっと強すぎでしょ……いや、違うな……』
『何が違うんだ?』
『簡単に言えば……ニトロと同じだ、自傷ダメージがある。それも無視できないくらいに』
『……あっそうだ!影が薄かったがあいつは筋力をマックスにすると自傷ダメージ喰らうようになるんだったなぁ!』
『そうだね、つまりランス選手はあのままだと自傷ダメージだけでHPが九割減る可能性があるって事だ』
『逆にカエンの奴は一撃でも喰らえば即死って状況。こりゃそんなに時間はかからないだろうな、そう言えば愛とペンスはどこに行った?』
『それなら今KILLと戦ってるはずだけど……って何?!』
『ちょっと待てなんだあれ!?』
『なんですか!?』
『あっいたんだ……いやそんなん関係ねぇ!ちょっとまずいかもしれん!』
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「ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って!」
「ヤバイ発狂した」
いつも一人で出てくるから知らなかったけど、一人になったら発狂するんだこいつ。
「ねぇあの状態って確か……こっちより強いんだっけ?」
「……だね」
うん、これは無傷で帰るのは無理かも。