飯食って戦闘して
昨晩、貞操観念ゆるゆるなルーの誘惑から逃げようとしたが、結局逃げられなかった俺。最低だな俺は。しかし目が覚めてみるとなぜかルーがいない。帰ったのか?と思ったが下からいい匂いが。気になったので見てみるとなんとルーが先に起きて朝食を作っていた。
「おはようデス!」
「おはようルー……?」
「そう言えばモーニングはパンとベーコンエッグにしたいデスが……?」
「じゃそれで……」
ルー……お前料理出来るんだ……俺は基本的に料理の腕とか皆無だし……えっ俺?俺は一回妹に俺の料理食わせたら『コケケ!』とか言いながらトイレに駆け込んだからなぁ……んで凄い剣幕で『二度とキッチンに入らないで!入ったら怒るよ!』ってブチ切れられたからなぁ……うん……
「食べ終わったらゲームといきまショー!」
「あぁ、そう言えばもうアプデは終了したんだったか。ならログインするとしますか」
あっコレ美味しい。ホントこいつと結婚出来たらなぁ……いや何を考えてるんだ俺は!?いきなりそんな事言ったら『最低デス。もう帰りマス』とか言われて終わりだぞ!?えぇい煩悩退散!
~朝食を食べ終えた二人~
さてと……ログインしたんだがあいつはどこに……あ、いた。やっぱ目立つよなぁあいつのアバター……筋肉モリモリのマッチョマンだからな。しかしまぁやっぱり俺も目立つよねぇ……
「さてと……遂に対戦に二人用のルールが追加されたんだっけか?」
「だなジョン。……じゃ早速行くか?」
「もちろん。その前に私はアバターを変えてくるからしばし待ってくれ」
俺も変更するかなメインアバター……もう全国一位と言えば低身長パソコン頭ってなってるくらいには有名になっちゃったし……ともかく、一回マイルームに戻るか。スキルも試すチャンスだからな。
「って何だこのマイルーム!?物が多すぎだろ!?ってこれ全部スキルかぁ……」
考えてみればマジで戦闘以外何にも考えてなかったからそりゃそうか……。大量に作った操作キャラも邪魔だし後で後で模様替えでもするかな。さてメインアバターをどうするか……まずパソコンを取るか。
「これがないだけで結構顔変わるな……このアバターが無表情なのは相変わらずだが……」
俺無表情キャラでアバター作ったからなぁ……多少表情は付けて……いや付けなくてもいいんじゃね?別に無表情キャラが嫌いって訳じゃないしな。とりあえず金髪なのを白い髪に変えて……あとは服も買うか。やっぱこういう時便利だよなぁマルチタスクスキルは。
~しばらくして~
「……まさかアバター変えてる時間を含めてもあいつより先に終わっちまうとは……」
と言うか結構遅くね?何やってんだルーの奴……そろそろ普通にログインする奴らが増えてきてるのは良いが……っと、多分アレルーだな。……ほとんど変わってないのは気のせいか?
「すまん遅れた」
「そうか……何が変わったんだ?」
「筋肉を更に増強したのさ!分かるだろう?」
「いや分かんねぇけど……」
何?ネイル変えて『今日の私はどこが変わったか分かる?』とか言ってくるタイプの女?よく見ればシックスパックがエイトパックに変わってるけどわかるかこんなもん!間違い探しじゃないんだぞ?!戦闘前だってのになんか疲れてきたな……
「……とりあえず行こうぜ」
「そうだな!」
やっぱ俺らゲームの中だと性格変わるよなぁ……多分口調だけかもしれんが。それにしても混んでるなぁ。新しいルールが出来るとすぐこれだ。このゲームがどれだけ人気なのかが分かるよホントに……
「今回カエンはどの操作キャラにするんだ?」
「とりあえず俺の持ちキャラで行く事にする」
「そうか……じゃ、私も持ちキャラにしますか!」
こいつを使うのは久しぶりだな……さて見せてやるよオーディエンスの奴ら!世界一位の実力って奴を嫌という程な……!
さて対戦相手が見つかったのは良いんだが……やっぱ相手のスキルはまるで分からん。当然だ、そうでなけりゃ戦いにならん!
「お相手さんのスキルは分からんなこれ……」
「ま、みんなぶちのめせばいいから大丈夫でしょ」
そりゃそうだ。でも相手の形は大体わかる。人型が二人……それ以上でもそれ以下でもない。だからこそスキルが分からない!だがしかしそれならば自分が使えるスキルをもう一度確認するべきだろうな。
「じゃあ俺は突っ込むぞ!」
「了解!つってもこっちが先に見つけたらぶちのめしていいんだよな?」
「当然だ」
さて、俺が使ってる『ヤブサメ』に付けているスキルは大まかに分けて二つ。一つ目は矢を放つときに命中精度が格段に上がる『鷹の目』。二つ目は物質を移動させる『ミニワープ』。俺はこいつを矢に付けることでかなり自由に使っている。主な使い方は緊急避難や攻勢に入るときによく使われるんだ。しかしよく使うのは三つ目のスキルの方。
矢印と呼ばれる矢を放ち、当たった物、NPC、キャラクターを指示した方に吹っ飛ばすことが出来るというかなり強いスキル……『ヤジルシ』。こいつを入れるのにコストをメチャクチャ消費した……。その結果俺はこの三つしかスキルを入れられていない。
「まずは相手のキャラ確認からだな!」
当然だが、矢は背中に背負ってる本数しか打てないので落ちている物を度々回収する必要がある。矢は基本的に屋内に落ちてるから拾って増やしていこう。ってコンセプトなんだろうがルーと『ミネピザ』の野郎二人以外で矢が無くなった事ないんだよなぁ……。
「とりあえず回収していこう」
とは言え落ちてる矢は基本全部回収な、コレしないとマジで負ける可能性もあるから。実際ルーとの世界大会で死にかけたし。んで今の本数は一のスキル矢が五本、二のスキル矢が十本……足りるか。と言うかなんかさっきから下が騒がしいなぁって一人判明したんだけど!
「『ドクター・A』か!クソッ既に増やされてる!」
よりによってドクター・Aかよ!早めに探さねぇと面倒なことになる!とりあえずジョンの野郎に連絡してっと……行くぞ!矢を放つ!そして……飛ぶ!からの移動を繰り返せば……何度でもワープが出来るって寸法よ!
「よぉドクター・A!久しぶりだなぁ!」
「ヤブサメ……本気で戦ってくれてありがてぇよ!」
こいつ、ドクター・Aは一言でいうなら面倒くさい奴である。と言うのもメインスキルが理由だ。その名も『ゾンビ・マン』。スキル内容はNPCを何でもかんでも改造してゾンビにすると言うふざけた物。索敵特攻自爆に追跡何でもあり。ただしその分コストは凄まじく、付けられるスキルはこれ一つか二つだけになる。
「だがしかし悪いが今は戦わねぇ!お前も嫌だろ?……今戦うのはよぉ!」
「だなぁ!だが刺させてもらうぞ」
「チッいきなり撃ってきやがってよぉ……!」
奴の体に矢は刺した。追う必要はない……!今はルーと再開するのが一番だな!
設定集:『スカイ・ブレイバーと言うゲーム』
ここは隔離されたとある町。そこでは毎夜のように人々が争っていた。なぜならその街では頂点に立つ者は願いを叶える事が出来ると言われているから。ある者は愛する者の為に、ある者はただ己の欲望を叶えるために、ある者は願いも無くただ暴れたいだけなど、様々な願いを持ったものがこの街に集う。今宵もそんなキャラクター達が夜を舞う……
と言う設定でVRMMO格闘ゲームの中でもトップレベルで競われているゲーム。世界中に広まっているこのゲームは、販売後からかなりのアップデートを繰り返しており、現在のバージョンは11.5程である。バージョンアップに伴い色々なキャラクターが追加されているのも特徴の一つ。版権キャラも普通に存在することから一種のお祭りゲームと言う評価を受けている。
基本的にキャラ制作の時に『ボディ』『メインスキル』『サブスキル』『名前』と言う感じに分かれている。ボディはそれぞれ『人間体』『獣体』『機械体』の三つに分けられ、それにメインスキルを付ける事で一つのキャラとして使う事が出来るようになる。