#4 女神でも半裸なのはイケないと思います!
いや〜、この世界の服って可愛いよね!
あ、そうだ、一緒に服、買いに行かない?
3つ目の問題だ。
どうしても、気になる。
みんな、半裸なのが。
とくに、胸が。
感じていた違和感。
彼女たちには、「恥ずかしい」という気持ちが、あまりないのだろう。
ちゃんと言っておこう。
「半裸なのはイケないと思います」
レナはきょとんとした表情で尋ねてきた。
「え、ヒカル、どうしたの?」
「僕のいた世界だと、みんな服を着ているんだ」
「へー、そうなんだ、それで?」
「いや、それでじゃなくて……とにかく、気になるんだよ」
「あー、でも、ゼウスが言ってたよ! 日本の服とか、カワイイって!」
ゼウス、ひょっとして、日本に詳しい?
コトミも少し興味があるようだった。
「そういえばそうだったわね。服ってどんな感じなの?」
「あー、ちょっとまって」
どう説明しようか。
ん、待てよ。
「絶対神」だから、ほとんどの魔法が使えるのだった。
「ちょっと召喚するイメージをしてみるよ」
「え、ちょっと待って!」
遅かった。
ドカン! バァーン! と、神殿の中が崩れ始めた。
まだ魔力の制御ができていなかった。
「ゲホ、ゲホ、ヒカル、まだそういう魔法使っちゃダメだよ!」
「あー、いや、ごめん……」
「ヒカル……また……やらかした……」
「練習としては、ちょうどいいんじゃないですか」
「いやー、もう少し、簡単なやつからやったほうがいいんじゃない?」
まあ、イオの言う通りだな……
「ふふっ、結構、強引なのね」
コトミはそう言って、ヘスペリデスの林檎を唱え始めた。
散乱した瓦礫などの破片が元の場所に戻りはじめた。
舞い散ったホコリも戻っていった。まるで「霧」が晴れるように。
そして、その「霧」の向こうには、アパレルショップが並んでいた。
無事、とは言い難いが、召喚には成功できたようだ。
そこには高級ブランドの店舗もあれば、小洒落たセレクトショップ、コスプレイヤー御用達っぽい店、ユニ◯ロなどがあって、見て回るには十分だった。
元気なあの2人は早速走っていった。
「へー! これが服なんだ!」
「えー、めっちゃかわいいじゃん!」
イオとレナはワーワー言いながら盛り上がって、そのまま店の奥の方に入っていった。
エリーとアイ、そして僕も一緒にそこへ行ってみる。
「なるほど、悪くはありませんね」
「ちょっと、たのしみ……」
中を覗いてみる。
どうやら、店員はいないらしい。そりゃあそうか。
「じゃあ、アタシ、これにするー!」
レナの声がセレクトショップに響いた。
レナの上半身は黒のキャミソールにオーバーサイズの白いトップス。
下は鮮やかな赤に黒が混じったチェックスカートを履いている。
靴は浅めの黒いブーツだ。
レナのツーサードアップの金髪に、黒のキャミソールがよく似合っている。
てか、着るの早すぎ……
「あたしはこれかな!」
イオはスポーツ系ブランドのシューズに、インディゴブルーのデニム。
そしてイエローのシャツ、オレンジ色のパーカーで、いかにも元気で溢れてるという感じだった。
茶髪のポニーテールを揺らしながら鏡を見ている。
「おー! イオ、いい感じじゃん!」
「いやー、レナのセンスもすごいね!」
ああ……
そういえば、僕も半裸だった。
とりあえず無難な服を探しに行った。
適当な下着、適当なシャツ、適当なジーンズ、適当な靴を調達してきた。
「うーん、どれにしましょうか」
エリーは白のブラウスとグレーのカーディガンを手にとっていた。
しかし、ワンピースとも迷っているようだった。
エリーの髪はグレーだから、個人的には水色とかいれると可愛いかもなあ、と思ったりした。
「アイは、きっとこれが似合うよ!」
レナはそういって、ネイビーブルーの髪で小さいアイに水色のワンピースを着せていた。
「う〜ん、でもちょっと違うかもな〜」
いろんな色を着せているが、どうやらワンピースをアイに着せるというところは、レナにとってはこだわりであるらしい。
「どれでも大丈夫……」
アイはとくにこだわりがないようだった。
——ヘスペリデスの林檎の詠唱を終えたのだろうか。
それとも、ただ遠くからこちらの様子を見ていたのだろうか。
コトミがようやくこちらに歩いてきた。
他の4人が服を色々試していたなか、薄い布だけでこちらに歩いてくるコトミ。
その姿は、黒い髪と白い布、そして綺麗な肌のコントラストが相まっていて、僕は目を奪われてしまっていた。
普通の服を着せるのはちょっと惜しいなと、思ったりした。
「わたしは、どれにしようかな。ねえ、ヒカル、どういうのがいい?」
「コトミは……」
——ちょっとした背徳感があったが、でも、そうしたいと思ってしまった。
「これかな……」
僕はコスプレ系っぽい店に入って、「学校の制服」を手にとった。
それをコトミに渡すと、彼女はふふっ、と笑った。
そして、次の瞬間、まとっていた布を全部下ろすと、その場で着替えを始めた。
思わず手で目を覆った。
いや……
ちょっと見たい。
チラッと見た。
制服に着替えているコトミがこっちを見て微笑んでいる。
目があった。
バレていたらしい。
慌ててまた目を覆って、コトミが着替えるのを待った。
「けっこう、着心地がいいのね」
「まあ、向こうの世界だと、みんな服は着ているからね」
「そうなのね。結構、いい世界なのかもね」
少し沈黙してしまった。そんなにいい世界だったかな。
「もういいわよ」
目を覆っていた手を退ける。
綺麗な長い黒髪に、白いセーラー服が似合っていた。
半裸のときよりも清楚な感じがするし、コトミには制服のほうがいいな。
「どう? 似合ってる?」
「うん、バッチリ」
なんとなく、元の世界にいたときのことと、ちょっとシンクロしたような気がした。
あ。
そうだ。
やらかした。
下着の概念を伝えていなかった。
いやーゴメンゴメン、オレ、R15ってどこまで書いていいのか、わかんなかったから、あんま上手くかけてねーかもな!
よかったら、感想とかレビューしてね! それじゃ!