さんじゅうろく
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そろそろ洞窟に帰ります!
「待ってたよ、ヒトミ。ハクは寝たんだな。こちらに座るといい」
ソファをすすめられたので、座る。
ナナさんと呼ばれた人は秘書さんなのかな、お茶を出してくれる。ありがとうございます。
ハクの入ってる籠は足元に置かせてもらう。
軽く打ち合わせ。
といっても私はただローズさんのお話を聞くだけなんだけど。
ルーズベルト様がいるお屋敷までは要塞から馬車で片道5日ほど。馬に乗れたらもう少し早く着くらしいけど、乗れないからね。
途中で村によったりするから野営はほぼない、ないって言われないあたりあるんだね。
道はそこまで悪くない、とはいえ砂利道だそうなのでお尻にクッション的なものが必要になる。
正装とまではいかないけど、ドレスとかも必要になってくるらしいからそういうのはお屋敷で用意があるそう。メイドさんの私物のドレスを買い上げて手直ししてるらしい。
私の大体の大きさは伝えてるらしい。見ただけでわかるの、ローズさん…
食事等は全部領主持ちだし、身支度にかかる費用も領主がだす。
そして、支度金として金貨50枚もらえました、これでなんやかんや整えてほしい、とのことだそうです。
…このお金で整えるのは!?
ま、いいや、貰えるものは貰っておくのです。
「それはそうと、ヒトミ。人前でぽんぽんと収納使うな。確かに誰でもできる魔法ではあるんだが、通常はそこまで荷物が入らない。貴重品のみの場合が多い。モークの森から荷物を運ぶのに収納が必要だろうから要塞内では使用してもよいが、あちらに向かうときは荷物をきちんと持っていくことだ。手ぶらやそのバッグだけはおかしいからな」
「はい。収納があるのにバッグ持ってたり荷台に荷物があったりしておかしいなとは思ってたんですよね」
「分かってるならいい。あと冒険者ギルドにいるイリヤにはあまり気を許すなよ!エリックの方は単純バカだからいいが、イリヤはちと厄介でな…」
「え、イリヤさん悪い人なんですか?」
「良いか悪いかでいうと良い方ではあるが、政治的側面がな。ま、せいぜい気をつけるこった」
「…ローズさんは私に随分と親切にしてくれてますけど信用してもいいんですかね」
「それを本人に言うか?まあ、私は長く生きてるからな、そういう柵とかはあまりないんだよ。だからまあそこそこに信用してくれ。エルフは精霊を大事にするんだ」
精霊様々だ、スミレちゃんやナツメくん、ありがとう。
「あとはそうだな、ハクを鍛えるとして、あとは誰を連れて行くんだ?サラがいれば大抵のことは大丈夫ではあるが。ヒトミは護身術等はー…できなそうだな、うん。魔法で攻撃はできるか?一応練習しておけよ」
「…本人次第ですけど、ゴーレムや精霊を連れて行こうと思ってます。初めての旅行なので。魔法の練習はどうすればいいんですかね?水球を相手の顔に投げるのでいいですか?」
「ゴーレムは意思などないから確認なんぞ必要ないだろう。そこまで大きいゴーレムでなければ連れて行っても構わないだろう。精霊はまあ、自由だからな。来ると言うなら事前に知らせてくれ。精霊に失礼なことがあってはいけないからな、事前通達しておく。…ヒトミはえげつないものを思いつくな、いいだろう。ちゃんと当てられるように練習しておけ」
「はーい!…あ、ここだけの話していいですか」
「いいぞ」
「うちのゴーレムちゃん、意思疎通が可能なんですけど」
「…もう一度いって、いや、いい、聞こえていた。聞こえていたからもう一度いわなくてよい。ゴーレムが意思疎通できるだと、伝説級じゃないか。そのゴーレムはどうしたのだ、どこで見つけた」
「モークの森でゴーレムの頭みつけてゴーレムの核は精霊から貰って私が作りました」
鑑定では精霊の核と私の魔力が混ざったのが原因ってでてた気がしなくもないけど、鑑定使えるっていってないから黙っておこう。バレてる気がするけど。
「……意思疎通ができるゴーレムなんて知らんといいたいところだが、先に言ってくれて助かった。人前では普通のゴーレムの真似もできるか?出来るなら連れて行っても構わんが、出来ないというようなら置いてけ。要塞内であったなら問題が起きても大抵のことなら平気だが、領主のところに行くからな。もみ消せん。あとゴーレムを作ったことは他言無用だ。モークの森で見つけた、とだけいえばいい。いいな」
「あ、はい」
「心配だな、私もついていくといえばよかったか…はあ。まあいい。次の雨の日がわかったら連絡する。多分あと12日後くらいか?今月はあと一回ある。特定の人とやり取りができる魔道具を貸し出す。これは私としかやり取りができないが、そう、嵌めたらそこの脇にあるところに魔力を流してくれ。登録完了だ。指輪が光ったら魔力を流せば声が聞こえる。反対に連絡したいことがあったら魔力を流しつつ指輪に向かって話せば良い」
「わあ、ありがとうございます。無くさないようにちゃんと返します!」
「そうしてくれ。…ああ、ハクが起きたか。随分と話しこんでしまったな。なんかあればいつでも連絡してこい」
ローズさん、面倒見が良くて姉御肌って感じだな。
かっこいい〜
ハクくんが起きたので籠をしまって帰宅するか。
なんだか買い物に来ただけなのに疲れたなー
明日明後日くらいはゆっくりしようと思ったけど明日明後日って感覚は部の時間と星の時間なんだよな…
「また物資がなくなったり売りたいものがあったときに来ます。色々とありがとうございました」
お礼をいったし、うん、忘れ物もないのでレンゲちゃんの待ってるおうちに帰ろう。
・・・・・
門番の人に挨拶をして、採取をしつつ帰宅。
魔物に会わないんだけどなんでだろうね、ヨケール草ってそんな万能なのかな。
「ハクくん、君は群れに帰りたいとかない?平気?私はハクくんといれて幸せだよ」
クゥーン
「そっか、ハクくんも同じ気持ちか。ありがとね」
――警告します!ウィーンウィーン
お、なんだなんだ。まだ要塞からそんな歩いてないんだけど。
『50m後方 獣人複数名
ヒトミとハクを観察中
要警戒せよ』
森に入ると機能するのかな、このスマホの警告。
後をつけられてるってことかな、うわあ。
獣人ってことはイリヤさんとかエリックさん関係だよなあ、、
ローズさんの話を鵜呑みにするわけではないけど、うーん。
観察中だから危害は加えられないにしても居場所を知りたいってイリヤさんいってたもんな、家までついてくるのかな。
めちゃくちゃ嫌だな…
ん、ハクくんが服引っ張って…、、
どこかに連れて行ってくれるのかな、分かった。
そっちに行こう。
素人の私が撒くことなんてできなそうだけど、どうしよっかね、本当。
いつもありがとうございます