フォースドタイムリーパーの温情
※本日中に4話連続投稿となりますので、未読でしたらそちらを先にどうぞ。
――――れだけ大声で話してたら、次何言うかくらい予想つくよ。私、耳いいし。もうちょっと自分が何言ったか思い返してみれば?」
これは、夢? 夢なのかな。
気が付いたら、私は、高校の教室にいた。
目の前にはシンドーちゃんが、相変わらず怖い目で睨んできていて。
「好きにしたらいいんじゃないの? ただそーゆー話は聞きたくないから、どっか他所でやって」
いつかのようなやりとり。いつかのようなセリフが出て。
でも、私は…………。
「…………ご、ごめんなさい」
「……いや、謝られても困るっていうか。謝るなら別な相手がいるでしょって」
何、改心したの? みたいに胡乱な目で睨まれて、身が縮む思いだ。
ホント、夢か、そうじゃないのか、全然わからない。お酒を飲んで寝落ちるなんて初めてで、夢の中で自分の意識があるのなんてのも初めてで。
でも、だったら――――。
夢でもいいから、やり直させてくれるのかな。
私は、ケータイをとって、ニッシーにメールを打ち込んで。
「………よし」
本気で別れようと、気合を入れ直した。
ふと、教室の端を見ると。
ひたすらに読書をしている男子が一人。
彼はちらりと、私の顔を見て。
その顔に、どこかで見たような面影が出て。
その独特な、ニッシーともまた別な変わった雰囲気に、少しだけ「違和感」を感じて。
ニッシーに「最後に会いたい」と言われて、私はノコノコついていって。
そこで……、はっきり言うと、殺されそうになった。ビデオカメラを持ったニッシーと、ニッシーの「お友達」たちが集まって来てて。
間違いなく、そのままだったら私は社会的に死んでいた。……社会的に殺されて、私も、命を絶っていた。
でも、そこを助けてくれたのは、ユーイチだった。
ユーイチは、警察の人をつれて来ていた。……ユーイチのそばには、私のお父さんとお母さんもいた。
これは、夢? お母さんたちは、私の無事に涙を流していた。
それは当然、あの、最悪の流れの先にあった和解のそれとはまったく違っていて。
こんな幸せなことがあっていいのかなって。夢なら、覚めてほしくないなって。
でも、ちょっと欲張りすぎかなって。こんなの。目が覚めたら辛い毎日が、なにものこらなかったあの日々が帰ってくるだけだって。
だったら、こんな幸せは、辛い、つらいよ。
私が手に入れられたかもしれない、こんな幸せなんて。
「――――春が来たんだよ、実籠さん」
そういうユーイチに、どんな意味だって。ずっと聞かなかった、彼の不思議な言葉の意味を聞いて。
「実籠さんは、今、幸せでしょ?」
……うん。
「だから、それでいいってことだよ」
やっぱりユーイチのそれは、ちょっとよくわかんなかったところもあったけど。
でも、それでも、この日々がもし夢なら覚めないでほしいって。
そんなことを思っている私の視界の端――――あの不思議な雰囲気の男子が、ちらりとユーイチと私を一瞥し、コンビニに入っていたような。そんな気がした。
これにて終了です・・・最後が嫌に駆け足なのはエピローグということで、ご容赦;
筆者世界観的にはもっとアレな目に遭遇してるキャラとかもいるのですが、この世界は割と救いがあるような、ないような・・・? といったところでした。サブタイからお察しかと思いますが、彼女はタイムリープしており、この後は以前よりはかなりマシな人生となるでしょう。
もし次作ったら、パーフェクトコミュニケーターvsフォースドタイムリーパー になるかしら・・・