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ドラゴン来たりて

 日が地平線にかかり辺りが暗くなり始めていた。しかし、村の中心部に集まった人の意志はそれとは反対に強まっていた。


「お前ら! 準備はいいか!」


「「「おう!!」」」


 男たちの返事は村中に響き渡り戦いが始まると改めて実感できるものだった。


「俺らには金ランク冒険者のタナカ様がついている! 確実にあのドラゴンを仕留めるぞ!」


「「「おう!!」」」


 トウヤさんに沢山の期待の歓声があがる。

 私は戦えないので、村で留守番となりますが村の中心部にある高い建物の上からみようと思います。村からは離れた場所で戦う予定ですが、ギリギリ見える位置なのです。


 そして、日は半分が沈んだ。


「では行くぞ!!」


「「「おう!!!」」」


「気をつけて……」


 移動を始めた討伐隊に近づき私はトウヤさんに話しかけた。


「ありがとう、頑張ってくるよ!」


 そして討伐隊は村を出て行った。

 討伐隊も村から出て行き、先とは一変して静まり返っている。しかし、誰も暗い表情をしていない。


 私はは心の中で応援する。

 頑張って、トウヤさん!


 

 突然、甲高い不気味な音が暗い世界に響く。


「なに……?」


 あまりの音に私は両耳を手で塞いだ。


「出たわ! ドラゴンよ!」


 近くにいた子連れのお母さんらしき女性がそう口にしたので、トウヤさんたち討伐隊の方向の空を見る。

 

「あれが、ドラ……ゴン……」


 そこには暗くてはっきりとは見えないが確かにかなり大きな黒い影があった。詳しくは見えないけど確かにいる。


「いっくぜーー!!」


 トウヤさんがそう叫ぶと一瞬固まっていた討伐隊が反応し各自に体勢を整えた。討伐隊の周りには20人弱くらいの軽装のランプを持った人たちがいたので討伐隊の様子は伺えた。


「大光柱!」


 トウヤさんがそう叫ぶと討伐隊から少し離れた位置にかなり大きな光の柱が天から落ちてき、辺りは昼間のように明るくなった。


「すごい……」


 ドラゴンはその光に驚いたように光の方に振り向いた。明るくなって予想以上にドラゴンが大きいと分かった。


「直線超越!」


 その声と共にトウヤさんが消える。


「どこに……?」


 思わず声がもれたけど、それは周りの人たちも同じだった。辺りを見回してもその姿はない。

 すると、急にドラゴンが空を見上げた。


「あっ!」


 そこには先程までいなかったトウヤさんがいた。


「こい!」


 その声に反応してトウヤさんの少し上に紫の門が現れ、そこから身長170センチメートルほどあるトウヤさんの三倍ほどの大きさの金属製の斧がの落ちてきた。その斧を落下しながらトウヤさんは受け取って大きく振る。


「過重剣!」


 そう言ったと同時にドラゴンに向かって落下するトウヤさんの速度が急に速くなった。

 ドゴォーン! とドラゴンに猛スピードで落ちてきた斧が衝突して共に地面に落下した。


「皆、かかれー!!」


 そう言うトウヤさんは斧から手を放して何か大きな布からロープを通したものにつかまりゆらゆらと落ちてきている。


「いくぞーー!!」


「「「おう!!!」」」


 トウヤさんの言葉に反応して先ほど作っていた網がついた槍をドラゴンに向かって投げ始めた。

 あの斧に引っかかるかと思ったけど、その斧は地面に落ちた時に砕け散っていたから大丈夫みたい。

 

 さっきの衝撃で片方の翼が折れたドラゴンは必死に抵抗するが、人数分ある網をのけきれずあっという間に動きが取れなくなった。そのころにはトウヤさんは地面に着地してドラゴンの近くに駆け寄っていた。


「動かないなら、もう余裕だぜ!」


 そういってさっきのと同じ門がトウヤさんの横に現れ、今度はトウヤさんの背丈ほどの大剣がそこから出てきた。


「いくぜ!」


 そういってその大剣で斬りかかろうとした時、ドラゴンは口を開けた。その口からは眩しい光が漏れ出ていた。


「ブレス!? 全員、下がって!!」


 そういってトウヤさんはステップでドラゴンから距離を取って剣を上に放り投げた。それと同時にドラゴンの口から先ほどトウヤさんが使った光のものより強い勢いで赤い光が放たれる。


「オラァァーー!!!」


 トウヤさんの雄叫びと共に足を引き手から赤い光を放った。


「同じ……?」


 その光はドラゴンが放っているものと同じ? たまたま同じ技を使えるなんてあるのかな。

 けど、少し押し負けている。


「過重剣!」


 先ほど投げた大剣の切っ先がドラゴンに向かって高速で落ちていく。


「いけぇ!」


 ザクッ! 大剣がドラゴンの首を突き刺してとどめを刺した。


「ほぉー危なかった」


「すげぇな! あんちゃん!」


「ありがとな!」


「流石金ランク!」


 トウヤさんは腰を下ろし、そこに討伐隊の人が群がっていった。


 冬夜は助けを求める視線を送ったが、生憎離れたベルにはそれは伝わらなかった。

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