地底国家
予告通り、ベル目線です! 誤字等ありましたら、報告していただけたら嬉しいです。
集中、集中。
「今!」
右足で地面を思いっ切り蹴って走り出す。
『《集中》』
スキルを発動したため、周囲2メートルの範囲の情報全てが頭に流れ込む。
この遺跡の床のパッと見ても分からないくらいの凹凸、
そしてそこを流れる風の流れ。
全てが見える、いや分かる!
しかし、それらとは違う明らかに不自然な風の流れが壁際にある。
きっと、そこに!
「そこ!」
大きく鎌を振り下ろす。
確かな手ごたえの刹那、緑色の体液と思われる液体が吹き出した。
振り下ろした鎌がソレを真っ二つにして、地面にぶつかった時、魔物の姿が露わになった。
念の為に鎌を放して数歩下がる。
体溶けたくないしね。
謎の魔物の正体は、蜘蛛の魔物だった。
「うん……?」
その魔物は傷を負っていた。
他に人が?
「もしかして! トウヤさん! でも……トウヤさんなら倒し切れますね…… じゃあ、アルカが?」
一人で心細いからいち早く合流しないと!
「欲を言えばトウヤさん……」
わっ私なっんてはっ恥ずかしいこっ事を……
思わずしゃがみ込んで、顔隠す。
「お前は何者だ?」
「誰?」
後ろから男の人の声が聞こえた。
《集中》はかなり体力を消費するから、今はもう解除していた。
だから接近に気付かなかったということは十分あり得る。
もしかしたら、敵かも!
すぐに鎌を地面から拾い、一歩前に踏み出すと同時に体を捻り、体の向きを変える。
「いない……!」
目の前にいるはずの男性の姿はない。
「下だよ」
「しっ下?」
視線をずらすと、そこには円柱状の機械があった。
厚さ10センチメートルほどで下にコマが着いていて、なにやらブラシが機械の下から覗いていた。
「ロボットですか……?」
「いや、これは偵察兼掃除用小型機械ランバだ!! 音を拾うマイク、通信した音を出すスピーカー、熱感知超小型カメラを搭載している!! そしてそして吸引力も抜群!!!」
盛り上がった時のトウヤさんと同じテンションの男性の声が遺跡に響く。
多分、悪い人じゃないんだろうな。
「そっそうですか……すっすごいですね!」
「そうだろうとも、私の最高傑作だ!! ところでその魔物は君が?」
そのランバからニョキッと棒が出てきて、蜘蛛の魔物を指差す。
「はい、透明なものですから倒すのに手こずったんですけどね」
「なんと! で、誰なんだ?」
「クレーベルです、あなたは?」
「はっはっは! 聞くか? 私は、開発王! ジョーダン・ホラフキ―だ!」
「分かりました、ではどこかに町があるのですか?」
トウヤさんから通信魔法というものを聞いていたので、離れた場所から交流できるというのには驚きませんが、このダンジョンの中に人が住んでいるということにはびっくりです。
「ああ、招待しよう! クレー……、クレーベラ、いや違うな…………」
沈黙が続くこと1分。
「連れて行こう! 強き少女よ!」
まあ、名前はまた教えればいいか。
そして、ウィーーンという音を立てながら、その機械は前進を始めた。
「魔物は大丈夫なんですか?」
進みだして3分は経ったけど、遭遇してもおかしくないはず。
「それなら安心してくれ! こちらから、音波を利用するレーダーで魔物の位置はすかさず確認して、魔物のいないルートを通っているからね!」
確かに言われてみると、道が分かれているところで右左に曲がってくねくねと移動しています。
そして、色々話しながら歩き、
「ついたぞ!」
「はい?」
そこは今まで歩いてきた道と何も変わらない場所。
「まあ、見ときな」
ランバが壁に近づき、棒を出して壁をつついた。
「認証を開始します、ぴっぴぴぴぴーー…………ぴ! 小型探査機27号機ランバを確認」
壁が急に話し出したと思えば次は壁がドアのように開きました。
「すっすごい……」
「中に入って!」
「はっはい!」
少し緊張しながら、一歩を踏み出して中に入ると、狭い空間があり青いライトで照らされている。
入るとドアは閉まった。
「最下層へ下降します」
ガタンッとという音がして、体が浮くような感覚がする。
「こっこわい……」
「気にするでない、故障して下に一気に落下するなんてことはない! 安全第一で毎日点検しているからな! 俺が! 俺が!!」
そして、1分程でその感覚は収まり、ドアが開く。
開きだすドアの隙間から光が漏れ出てきて、思わず目を閉じました。
期待8割、不安2割の気持ちを残しながら、ゆっくりと目を開けた。
「うわぁぁ!」
私は目の前の光景をみて思わず言葉を漏らしました。。
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