二対三
――迷宮二階層――
私達は今も連携の練習中です。
あれから2週間が過ぎました、そしてかなり戦えるようになりました。
あの後は、結局、トウヤさんのスキルによってアルカの血に対する耐性(?)を付けました。
そのスキルは私が演説したときに使われたスキル『意識変換』というもので、自分に「できる」、「大丈夫だ」のような暗示を数千回、数万回自分の深層意識にかけることで一時的に自分の中で意識改革を行えるというものらしい。
その、おかげで今私達は戦えているのだけど。
「後方から2体、横の通路から1体!」
これは、トウヤさんの『索敵』でこちらに来ている魔物をみてもらって、教えてもらっています。今は、最初より慣れてきたということもあり、交戦中では本当に危ない時以外は指示を出してもらっていません。
ちなみに、迷宮の構造はというと、まず100階層まであり、天井部分に特別な鉱石があってそれが光るので迷宮内は明るくなっています。また階層のどこかにある階段から下の階層に降りられ、階層ごとに構造が違っています。例えば一階層だと灰色の煉瓦の細い通路ばっかりで迷路みたいですが、二階層だと広い部屋が幾つもあり、その部屋を一階層と同じ煉瓦の通路が網目状に繋げてています。私達はまだ行ってないですが、エルフの方々から聞いた話だと三階層は打って変わって土が地面を覆っていて迷宮独自の植物も自生しているそう。といった風に階層ごとに大きく変わっています。
そして、私達はその二階層の中でも一番広い部屋にいます。天井の高さは通路より高く、8メートルくらいあり戦いやすいですが、広い部屋なので多くの通路で繋がっていて引っ切り無しに魔物がやって来ます。
「アルカ、前から来る一匹の足止めをお願い」
「分かったさ」
アルカが使う武器は弓と腰元にかけてある短剣。まず、こちらに向かってくる魔物の足を狙って矢を放ち、動きが鈍ったところでスキル『毒の支配者』という物騒な名前のスキルで矢の先に毒を付与して魔物に当てることで更に動きを鈍くしたり、魔物の嗅覚や視覚を奪ったりして魔物を弱らせます。
毒は種類も豊富で状況などに合わせて様々な戦い方ができるそうですが、かなり体力を使うスキルみたいで使いどころを見極める力も必要な様です。
ちなみに今使っている矢はトウヤさんが渡した撃ったら手元に帰ってくるものです。
それは置いといて、その後ある程度弱らせた魔物が近づいてきたら腰元の短剣を抜き魔物の後ろに回り込むようにして魔物の胴体を斬っていきます。
ちなみに矢だけでなく短剣のような武器にも毒をつけることが出来るみたいです。
そこで、私は背中をアルカに預けて残りの二体に集中して戦います。
武器を身構えて準備ができたところで通路から、魔物が現れました。
その魔物は青色の蛙を人より少し小さいくらいに大きくしたような魔物で、舌を伸ばして攻撃してくることもあるので近づきすぎないようにしなければいけません。
そこで、まず一体の魔物にもう一体の魔物から遠ざかるよう、円を描くように近づいていきます。そして、近づいてきた魔物は私めがけて3メートルあるような舌を出し、それで私を振り払おうとします。
それを、ギリギリで体をひねらせて避けて、
「えいっ」
大鎌を振り落とし、舌を切断します。
切れた舌は、まるで蜥蜴の千切れた尾のようにピクピクと跳ねるのが気持ち悪いですが、切り落とせば直ぐに後ろに後退します。
そして、まだ相手をしていない魔物の位置を確認して挟まれないように場所を走って移動します。
舌が切れた魔物は少し動きが鈍って、まだ部屋の隅にいてすぐにはこちらにはこれません。
そこで、もう一体の近くまで来ている魔物を相手します。
今度は一直線に魔物めがけて大鎌をいつでも振れるように構えて走り出します。
『身体強化』を使いこなせるとまでも行かなくてもある程度使えるようになった私は、直線ならほんの1秒で5メートルの距離を一気に詰められます。
一瞬で目の前まで私が近づいてきたので舌は使えないので今度は、手で体を支えて私の腕の3倍以上はある太さの足を前に出して私を蹴り飛ばそうとします。
「それなら!」
私は足に渾身の力を込めて1、2と踏み切り、両足を揃えて上に飛び上がります。
これは天井が高くないとできないし、スキルで強化された力だと2メートルくらい飛び上がるので少し恐い。うん、少しだよ、少し。
「えりゃー!」
私は真上から足を前に蹴りだして身動きがとれない蛙の魔物を真っ二つに大鎌で切り裂いた。
「あと一匹」
「こっちは終わったさ」
そこでアルカが合流した。足止めといったけど倒し切ったみたい。弓と短剣で。
アルカは本当にすごいよ。
「じゃあ、もう一匹を倒そうさ!」
「うん!」




