初陣
今回も短めです、すみません。
——迷宮一階層——
「ベル今だ!」
アルカから放たれた矢が見事、牛の様な魔物(とはいっても大きさは牛より二回りくらい大きい)の足に命中して動きを止めた時、トウヤさんが私に指示を出してくれた。
今は私とアルカで協力して魔物を倒すという練習を始めたところでトウヤさんが全体を見てくれて慣れるまでは指示を出してくれている。
「おりゃっ!」
私の体は新しいスキル『身体強化』のおかげで、力が漲っている。
元々軽いとはいえ、自分の背丈の一回り小さいくらいの大きさもある大鎌をブンブン振り回すことができる。
改めてスキルが人に強大な力をもたらすと実感した。
持っているスキルで時には身分すら変動することがあるくらいだし、あまり頼りすぎるのも良くはないかな。
——あくまで、強くなるための手段——
私が頭の上に振り上げていた大鎌は一直線に魔物に向かう。
硝子の大鎌が描く軌跡は光る。
真直ぐな一筋の光はベルの迷いが無くなったことを表現している様に感じられる。
大鎌のカーブした刃が魔物の横腹を滑る。
そして
数瞬遅れ、音と共に魔物の体に斬撃痕が浮かび上がり、そこから血飛沫が上がる。
「やりました!」
「ウッウウー……」
私の歓喜の声とアルカの嘔吐く声が重なった。
小動物みたいな声で少し可愛い、じゃなくて。
「アルカ、大丈夫?」
「大丈夫か?」
「ちょっと無理です……」
私とトウヤさんの心配する声に心許ない返事が返ってきた。
いつものアルカの父が使っていたという何処かの方言ではなかった。
普通逆だと思うけど、それなりに苦しいのだと分かった。
「じゃあ、一回迷宮出るか」
「はい……おねが……ウッ……」
かなり重症、どうしたんだろ?
さっきまでの事を私は頭で振り返っていると、
「じゃあ、おんぶするぞ」
「え?」
「どうかしたか? ベル」
ズルイ、私もおんぶしてもらった事あるけど意識無かったし。
お姫様抱っこはそれはそれで別だし。
「私がおんぶして外まで連れて行きますよ! いち早く新しいスキルを使いこなすためにも普段からつっ使ったふぉっ方がいいと思い、ませんか?」
噛んだしすごいイントネーションおかしくなったけど、まあ良しとしよう。
「確かにそうだな、じゃあ、任せるよ」
そうしてベルは、機嫌良く入り口までアルカを背負って向かった。
しかし、その後、アルカが大量の血飛沫を見て気分を悪くした事を知ったベルは自分はもしかして女の子らしくないのかもしれないと落ち込んだのだった。




