それぞれの過去
昨日投稿忘れていました。今日はもう一話投稿します。
あれ? 周りが真っ暗闇となっている。
私、演説をしていたよね……
そして、間もなく私が気を失っていたことを知った。
♦︎♢♦︎
「じゃあ、私の力じゃなかったんですか!」
あの時の演説……私、人前で上手く話せるようになったんじゃないかって思ったのに……
「むぅ!」
「そっそんなフグみたいに顔膨らまして怒らないでくれよ」
「フグが何なのか分かりませんが、私はがっかりしましたし」
あの時私は自分の力であの演説をしていたと思っていましたが、実はトウヤさんのその人の精神力を高めるスキルで一時的に私に物凄い自信を付けていたのです。確かに私が自力で(言えたかは分かりませんが)言っていても結果としては同じですけど、他の人とも話せるようになりたい私にとっては最重要事項なのです。
「その話は置きましても、トウヤはどうして数多くのスキルを使えるのですか? 記憶が曖昧ですが長老の姿で戦った時にも長老と同じスキルを使っていましたし」
長老さんのスキルを解除した後はその間の記憶が曖昧になるらしい。
「確かに私もト……ウヤのスキルについては詳しく知りませんね、あと許してはないですよ」
私はあの少し後、少し演説を続けて終わったと同時に意識を失って倒れたらしいけど、スキルの反動かもしれないとトウヤさ……トウヤは言っていたし。
まあ、エルフの人たちの反応は良かったみたいだからいいんだけど。
「許してくれーベルー、で」
へっぽこトウヤはからスッと切り替えてトウヤは……
う~、やっぱり恥ずかしい……呼ぶとき以外はさん付けにしよう。
トウヤさんはこの世界での人生から話を始めた。
♦︎♢♦︎
「それは大変だったんですね……」
目元を涙で濡らしながら言うのはアルカ。
それとは別に実は私はライバルのような気がしてアルカに少し対抗心を燃やしています。
それはいいにしても、トウヤさんもアルカ、そして私も大変な道を歩んできたんだなと思う。
「ああ、けどアルカディアも大変だったんだろう? それとお互いについても知ったんだし、ですとか止めてもっと砕けた話し方でもいいけど」
「そうなの! あれ、疲れるんだよさ。じゃあ、こうしゃべるさ」
ええ! 全然違い過ぎて驚いた私。
そして必然的に二人の視線は私に向けられた。
二人とも自分について話してくれたんだし、当然だよね……
けど、思い出すだけでも……いや言おう。
これで昔の自分とはお別れとしよう。
今はトウヤさん、アルカもいるし、私は強くなりたい!
「ベルは言わなく……」
「ベルは?」
「ベル?」
「大丈夫ですよ、トウヤさん。あっトウヤ」
トウヤさんは心配をしてくれるけど。
「言わないと確実な一歩は進めないと思うんです。私はトウヤに救われました、先に進みたいんです」
「分かった」
「まず私はごく普通の夫婦の長女として生まれてきました――――」
「つらかったでさな…… もうかなじまなくでもいいからさぁー」
アルカは途中いや、最初のほうから大泣きしていましたが、話し終わるころには声をあげて泣いていた。
「そうだったのか、ベル。もう安心してくれ。俺たちがずっとベルの傍にいるから」
トウヤさんも少し目が潤んでいた。
「はい……!」
今、返事と共に私の頬を滑り落ちた涙は悲しいものではなく、私の過去を洗い流すような優しい涙だった。




