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神殿に入る
「黙ってお一人で出歩かないでくださいと何度言ったら分かってくださるんですか!」
「だって言ったら誰かお供ついてしまうじゃろう?せっかくの散歩なのに堅苦しくて息が詰まっちゃうぞ」
「ご自分のお立場をもっと自覚なさってください!」
「ええ~・・・」
「ええ~じゃありません!!」
神殿前の広場の前で始まった説教は俺を置き去りにして続いていた。前を通る住人達はいつもの事なのか見慣れた風に眺めながら横切っていく。
「このじいさん、並みのゴロツキよりも強いから心配要らないんじゃないか?」
いつまでたっても説教が終わりそうになかったため、俺は横から声をかけてみる。
「ラルズ様に対してなんて口の聞き方ですか!?というかあなた誰ですかっ」
「彼は儂をここまで送ってくださった方じゃよ。儂のお客さんだから失礼のないように」