疑問
「えぇと……俺たちは歓迎されてるってことでいいのかな?」
「あぁ、そうだ。」
「な、なるほど……」
『何か』たちは目をパッチリ開けてこちらを覗き込むように見てくるので少し不気味だ。
それに、今は仮に『何か』と呼んでいるが、なんと呼べばいいのかもわからない……。
「えぇと、あなた達の名前、もう一度言ってもらえるかしら?ちょっと聞き取りづらくて……」
「了解した。私は『ΦΨΜ0900 γ Αρ.π−5142』だ。ちなみに、ここにいるのは全て『0900 γ型』だ。」
な〜るほど〜、さっぱりわからん。
そもそも何語だよ……
あ、違う星だった、ここ。
「ごめん、やっぱりわからないわ……その……なんて呼べばいいかしら?」
「ならば、『ΦΨΜ』で結構だ。」
「いや、まだ言いづらいし、少し長い。もっと別な名前ないか?」
すると『何か』は少し無言になり、数秒たった後、
「では『マヴロ』と呼んでくれればいい。」
と言った。
少し言いづらいが、「ウに濁点をつけるとか言いづらいだろうが!」とかツッコミを入れていると前に進まないので『マヴロ』で妥協することにした。
「まぁ、それで俺たちが今、わかっていないことが大きく『3つ』ある。まず、『1つ目』えと、マヴロだったか?お前達は何者なんだ?」
マヴロはまた少し無言になった後、答えた。
「我らは、いわゆる『アンドロイド』という類のものだ。」
「ア、『アンドロイド』?」
「『アンドロイド』というと……つまり、あなた達は『機械』ということかしら?」
「あぁ、簡単に言えばそうなるな。こう見えて骨格は全て金属でできている。……見せようか?」
マヴロは背中の剣を抜いて右腕を切り開こうとしている。
「い、いや、遠慮しとく……」
「わ、私も……」
あいにく二人にはそういうことに関しての耐性が無い。
マヴロはそう聞くと「そうか。」と、なんとも器用な手さばきで剣をしまった。
どこぞの『デデンデンデデン……』を思い浮かべるのは俺だけか?
いや、たぶんマユミも思ったよな……
『ナンタラーカンタラー2』でも似たようなシーンあったけど、『リアル』で、しかも『目の前』でやられるのはなかなかショッキングだぞ、これ……
いや、やられてないんだけども……
「えと、話を戻して、『2つ目』俺たちが来た時、なにもかも止まっていたが、何があったんだ?」
「えぇ、私も気になっていたわ。」
すると、マヴロは後ろの『何か』達と確認しあうようにキョロキョロ見つめ合い、こちらに向き直った。
「84時間前、『キーア』がこの星に向け『フォーヒア』を放射したのを確認した。『フォーヒア』は電波障害や故障を引き起こす恐れがあるため、機能を10時間前から完全に停止していたのだ。」
リクは頭の中が『?』マークでいっぱいになって、首をかしげていた。
マユミはなんとか質問することができた。
「えぇと……まず、その『キーア』というのはなんのことかしら?」
「すまない、通じなかったか。我らでは、あの恒星のことを指す。」
そう言うとマヴロは空を指差した。
指差した方を見ると、命の源とも言える白く眩しい光が見えた。
「あぁ、あれは私たちの星では『太陽』と呼んでいるものに近いわ。……なるほど、だいたい理解したわ。つまり、太陽フレアはあなた達『機械』には危険だから停止していた。ということね?」
「『太陽』……そう言っていた地域もあったな……。そうとってもらって構わない。」
カルチャーショックというやつだろうか?
そういうのを感じた一瞬だった。
なるほど、それならいろいろ説明がつくわね……
ん?『電波障害』……?
マユミは突然立ち上がり、リクの肩を掴んだ。
「それよォォォ〜〜〜!!!」
「うおあ!?ビックリした!!って何が!?」
「『太陽フレア』よ!『太陽フレア』!」
「え?え?何が?」
「ほら、通信がいきなりできなくなったり、宇宙船が少しおかしくなったりしたでしょ?」
「え?あぁ、うん。」
「簡単に言うとね……」
そういうとマユミはメガネを上げようとして、手がヘルメットに当たり、その手をごまかすように人差し指を立ててリクに説明した。
「まず『太陽フレア』ってのは太陽の表面で起こる爆発で、その爆風に巻き込まれると磁気が歪んで機器がダメになっちゃうのよ。」
「な、なるほど……」
「私たちはそうとも知らずにその爆風の中に入っちゃったのよ。結果的に、『通信ができなくなった』ってことよ。」
「あ〜……なんとなくわかった。その『太陽フレア』ってのがなんか影響してたんだな?」
「そういうこと。」
「な、なるほど。えぇっと、また、話がそれたが……最後に一番気になっていた『3つ目』さっきから俺たちは全然生き物らしい生き物を見ていない。何か生き物はいるのか?」
するとマヴロ達はまた、キョロキョロ見つめ合い無言になった。
だが今度は、十秒以上の長い沈黙だった。
ようやくこっちを向いても、少しためらっているような感じで、口を開いたのは結構経ってからだった。
「……全て、絶滅した……。」
「「……え……?」」
シリアスになるのかなぁ……
ならなさそう……




