♦︎見習いMEMO♦︎ ⑥
♦︎見習いMEMO ⑥♦︎(38話「ヴェネトスの迷宮・入口」~52話「迷宮探索隊・隊長」まで)
*読まなくても本編内容に影響はありません
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♢ヴェネトスの迷宮
・第一層…草原エリア。出没する魔物はスライム、角兎、大土竜など。たまに王様蚯蚓。
・第二層…草原と森のエリア。一層の魔物に加え、高脚蜘蛛が生息。
*第一層、二層は外とあまり変わらない環境で、迷宮探索隊の新人のキャンプ場所としても使われるエリア。
・第三層…湿地帯エリア。所々に沼や泉がある。出没する魔物はスライム、毒大蛙、一口鯰など。
ちなみに一口鯰は、「一口で食べれるサイズの鯰」ではなく、「人が一口で食べられてしまう程大きな鯰」である。
♢迷宮入口
・入口外観…大岩に石窟寺院のような荘厳な門。外から見ると扉の中は真っ暗。地下に伸びているだろう階段が存在している。
♢入口付近の環境…素材買取してくれるギルドの出張所や商人が集まり市場のようになっている。軽食販売の店もある。総じて値段は割高だが、装備の最終補充先として需要がある。
少し離れた場所には迷宮へのアタックを繰り返す採狩人のテントが集まり、集落が形成されつつある。
♢ドコカノスナギツネ…乾いた山岳地帯に生息する狐の仲間。スライム狩りにて、絶命したスライムの体に手を突っ込むアイリスを見たレッテリオの表情は、全ての感情を排し遠い目をしたあの獣のようだったという……。
♢アイリスの魔術…杖を発動媒体としている。イグニスから力を借り『火』の魔術を使う為の錬成陣が仕込んである。
魔術はイメージの力でもある。アイリスが魔術を使う手順は、『どの様に火を操りたいのか』をハッキリと頭に描き、発動の引金となる『ことば』を言うだけ。
♦︎アイリスの発動の『ことば』は『点火』
例)「点火! 火の礫よ貫け!」
♢レッテリオの魔術…左手首の腕輪を発動媒体としている。宝石や魔石が埋め込まれ、細かい細工が施されている銀の腕輪。
家継精霊の風の精霊の力を借りている。レッテリオは精霊との契約はしておらず『守護』をいただいている。
♦︎レッテリオの発動の『ことば』は『風よ』
例)「風よ、断ち切れ!」
♢コンスタンティーニ家…レッテリオの実家。貴族であるが詳細は語られていない。レッテリオはそこの三男坊。
有名な大貴族も同じ家名だが、王立騎士団ではなく一地方のヴェネトス騎士団の騎士であるレッテリオとの関係は不明。
・銀の腕輪、ふしぎ鞄、懐中時計……と、その財力が窺われる。
腕輪と時計の見事な細工は、よく錬金術師の目を引きつけるらしい。
♢防水布の『魔物除けの守護結界』…防水布の中央に描かれているのは『結界の錬成陣』
魔力を流すと陣が光り、その光は布の周囲2メトル程まで広がり、その後は地面に染み込んだように淡い光を保つ。継続時間は流した魔力の量によって変わる。
*この錬成陣は消えにくいインクで描いてあるだけだが、刺繍をすることにより、効果も高く、安定性のある物に出来る。
また、刺繍糸は魔力を帯びたものを使い、魔石の粉を混ぜた染粉で染めると更に効果は高まるだろう。
♢『白い石』…通称『結界石』。ほんの少しだが魔物除けの効果のある石。主に迷宮で採取できる。
♦︎『羊の草原』…第二層にある。『白い石』が羊の群れのように点在している安全な野営地。二層はこの岩で避けられる程度の魔物しかいない。
♢白い小石道…第三層に敷かれている、『白い石』で作られた石畳の道。
ただ並べられているだけだが、魔物を寄せ付けない効果により道として維持されている。『白い小石道』の一番の利点は、無用な戦闘を避けられることにより、消耗せずに目的地まで行けるということだろう。
♦︎迷宮の階段…『白い小石道』と同じく魔物避けの『白い石』で出来ていると想定されている。
♦︎白い石を使った応用として……『白い石』を挽いた『白い粉』で、結界を張りたい範囲を囲み『魔物除け』の錬成陣を描く。それから『白い粉』に魔力を流せば結界が張れる。
♢『星空の泉』…第三層にある泉。手漕ぎボートで一周、十分刻ほどの大きさ。水深は膝下ほどで湧き水は冷たい。
水中には『星ノ藻』が茂り、その深い藍緑色の藻と白い花が、まるで星空のように見えることから『星空の泉』と呼ばれている。
♦︎『星ノ藻』…ヴェネトスが産地として有名。清浄な水の中にだけ生える水草。藍色にも見える深い緑色の藻で、白くて丸いの可憐な花をつける。限られた場所にしか生えないが繁殖力は旺盛で、上手にやれば同じ株から何度も採取が出来る。
・素材としての『星ノ藻』…様々な薬に使う。その使用目的も様々で、薬草の組み合わせによりその効果を上げたり、高位の魔力回復ポーションの素材としても使われている。
需要に対しての供給が少なく、その値段はいつでも高い貴重品。
♢玻璃立羽…迷宮にだけ生息する蝶。水晶のように透き通った羽を持ち、年に二度、その羽を生え替わらせる。
生え替わりの時期は夏前と冬の前。時期が来ると古い羽をポトリと落とし、ほんの5分刻で新しい羽を生やす。季節で羽を替えるその様は『衣替え』に似ているので、そのまま『玻璃立羽の衣替え』と呼ばれている。
♦︎玻璃立羽の羽根…様々な色があり、最も多いのは半透明の乳白色や、透明のもの。他には紫、赤、青、黄色などがあり、虹色は別格。素材としてだけでなく、観賞用や装飾品にも使われる。
・素材としての玻璃立羽の羽根…『固定』の効果を持つ。錬成陣を描くインクや糸に混ぜて使うことが多い。陣を長持ちさせる為の『定着液』になる。
錬金術師には透明の羽が一番使いやすくて人気。*使い勝手の良くない色付きでも『虹色』だけは別
・虹色の羽根…含まれる魔素が多く、品質効果も高い。だが、とても珍しく貴重なので、滅多に……と言うか、普通の錬金術師がお目にかかれることはまずない素材。
玻璃立羽は飼育が出来ず、虹色を狙っての採取も困難なのでとても高価。
♢『蝶の甘水』…玻璃立羽が住む泉の水はこう呼ばれている。
玻璃立羽の主食は甘い蜜。辺りに咲き乱れる花々や、木の樹液を吸い、そして住処である泉の水を飲む。その繰り返しのせいか他の要因かは研究中だが、玻璃立羽の住処の水はほんのり甘くなり、探索者たちの楽しみとなっている。また、第三層の『蝶の甘水』は生温い。
♢迷宮の果て…果てがあるのか調べた者がいたという。ひたすら真っ直ぐ歩き、とうとう果てを見つけた。ある地点から壁でもあるかのように一歩も進めなくなったのだが、景色はずっと先まで続いていたらしい。
♦︎迷宮の底…迷宮探索隊の最終目的。探している。
イグニス曰く、底ではなく中心と言った方が近く、移動しているらしい。
♢ランベルト・ヴェネスティ…迷宮探索隊隊長。ヴェネスティ領主、ヴェネスティ侯爵家の次男。
レッテリオとは幼馴染で二十八歳。錬金術師のイリーナ先生とも顔なじみ。
レッテリオより拳一つ分背が高く、髪は黒。快活そうな瞳はレッテリオと同じ蒼色。
【魔物】
♢スライム
・特徴…周囲の環境で体の色を変えることが出来る。目や口、手足、脳も内臓もなく、雌雄もない。繁殖方法は分裂。植物に近い。
・能力…スライムの持つ力は浄化。また、魔力を持ち、種類や個体によっては、毒を持っていたり攻撃的なものもいる。
・分裂と合体…増えすぎたスライムは合体して力も体も大きくなる。建国神話にはスライムに飲み込まれた人間や街の記述もある。
♢高脚蜘蛛…成体の体長は約三メトル~五メトル程。姿形は普通の蜘蛛と同じ。毛の生えた脚と赤い八つの眼を持ち糸を吐く。
高脚蜘蛛は細いが丈夫で伸縮性があり、素材として人気がある。採りたての方が品質が良い。非常に燃えやすいのが弱点。
ヴェネトスの迷宮では三層、十層などに生息が確認されている。
♦︎魔物の核…主に体の中央部分に存在。『核』と呼ばれるこの部分を破壊されると魔物は絶命する。
♦︎魔物の魔石…全ての魔物はその『核』の奥に魔石を持っている。『核』という魔力の源から作られ、必ず付属品のように核と共に存在しているという説、逆に魔力の塊である魔石の成れの果てが『核』だという説など、謎深く諸説尽きない。
♦︎魔物の亡骸(*迷宮限定)…一定時間放置すると消えてしまう。詳細は不明だが、『迷宮雀』がその謎に関係しているとの説も。
♢迷宮雀…チュンチュンという鳴き声は普通の雀と変わらないが、迷宮雀は迷宮だけに生息しており、肉食なのが特徴。いつの間にか消えている魔物の亡骸を片付けているのは、主に迷宮雀だという説も。