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Pandora   作者: 夕の満月
第二章 願望
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指し示す道①

 朝になると昨日の夜までの騒がしさはなくまばらに行き交う人が目につく程度になってた。昨夜との違いに戸惑いを覚えていると前方から見知った女性が歩いてくるのが見えた。


「あら、昨日はごめんなさいね」


 こちらに気が付いた女性に声をかけられた。この街では主に賭け事で形勢を保っているため、賭博場がしまっている朝方などは人が少ないのだという。

 夫も前は普通に働き賭け事に縁はなかったそうだが、付き合いで一度手を出してしまってからは入り浸るようになり、最近ではあの様な事も‥‥と嘆く女性に慰めの言葉をかける。


「もう放っておいたほうが良いのかしらね‥‥」


「それは‥‥」


 彼女の表情とこれまで思ってきた事を考えると、それ以上の言葉は喉に引っかかり出てくることはなかった。


「ごめんなさいね、あなた達に愚痴ってもどうにもならないわよね」


「口に出したほうが楽になる事もありますし、溜め込まないほうが良いですよ」


 その一言に女性はお礼を言い立ち去っていった。アイラとシズクに自然と目が向く。


「んー? ナギ君がああなったら引っ叩いてあげようか?」


「私も叩きます!」


 二人の言葉に自然と笑い声が漏れる。


「そんな日が来ないように気をつけるよ」


 しばらく道なりに進むと二人の男の姿が見えてきた。片方の男がもう一人の男に膝をつき、すがりつくように何か嘆いている。どうやら昨夜の男のようだ。


「頼む、もう一度だけでいい次こそは返せるから」


 せがまれていた男は呆れた顔をし、すがりつく男に向け小声で何か耳打ちをする様子が見えた。すぐに男は顔に安堵の表情を浮かべ立ち上がり二人揃って路地へと姿を消していく。少しして男の一人が一言残し立ち去っていった。


「チッ、魔族でも捕まえてくればすぐに金なんか手にはいるんじゃねぇの」


 しばらく様子を見ていたが昨夜の男は出てくる様子がなく路地を覗き込んでみると顔に痣を作り倒れ込んでいる姿が目に飛び込んできた。慌てて駆け寄り無事を確認する、どうやら意識はあるようだった。


「これに懲りたら、もうこんな事やめたらー」


 アイラの言葉に男は黙り込み下を向くが、ふと何か思い立ったかのように声をあげた。


「魔族だ‥‥魔族を捕まえさえすれば‥‥」


「無理でしょうね、あんな男にやられるくらいだもの魔族なんて相手にしたら命すら奪われると思うわ」


 男は地面に拳を叩きつけ再び俯いてしまう。


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