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Pandora   作者: 夕の満月
第二章 願望
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混沌の渦②

 僕の顔を見たアイラとシズクは少しでも寝た方がいいと心配してくれた為、無理矢理に少し眠る事にした。

 程なくして、町に騒がしさが走り眼が覚める。町のすぐ近くで闘争が起こっていた。初めは話し合いだったようだが徐々に口論が激化し、取っ組み合いにまで発展している。


「ナギ君‥‥あれ」


 何かに気がついたアイラが争う人々に向け指を指す。


「何があったんだろうね」


「違う、目を見て」


 言われるままに人々の目を遠目に眺める。数人‥‥いや、三分の一程度の人が赤い瞳をしていた。魔族と人の争いかとも思ったが、どうやら違うようだ。魔族同士、人同士でも争っている姿が見える。

 突如、背後から伸ばされた腕に首を固定され苦しさに身悶える。


「チッ、見られたからにはこの町から出すわけにはいかない」


 この町へ案内してくれた男が背後に立っていた。


「どういう事?」


 アイラの投げかけた疑問に男は答え出す。兵を逃れ逃げてきた魔族をこの付近の町では人が匿っているという話だった。争いは増える人によって足りなくなっていく食料をめぐるものだとも。

 アイラは静かに剣を抜き、その様子に身構えた男に向け目を合わせる。


「私たちも魔族よ。これならいいでしょう?」


 男は悩み、納得したのか腕を緩め僕は解放された。


「すまないな、君たちも此処に住むつもりで辺りをウロついてたのかい?」


「まさか、偶然よ」


「ふむ‥‥くれぐれも、この場所は‥‥」


「分かってる、安心して良いわ」


 アイラの淡々とした態度に嘘は混じっていないと判断したのか男は頷き、争いの中へと消えていった。


「これ以上巻き込まれないうちに行こうか」


「そうね」


 大丈夫ですか? とシズクに首を心配されながら、逃げるように争いの場から離れ町の内部へと走りだした。

 途中遊ぶ子供たちが横目に見え、違和感を感じ立ち止まる。魔族らしき子が二人、囲まれて砂をかけられていた。やめさせるため飛び出した僕よりも早くシズクが身を乗り出した。


「やめて!」


 子供達は止まらずシズクにも砂が飛ぶ。その様子を見たアイラが、子供の一人を首の裾を掴み吊るし上げた。逃げ出す子供たち、遅れてアイラから解放された子も逃げていく。

 二人の子にお礼を言われ、再び歩き出す。魔族の子と一緒にかけられたシズクの砂をほろいながら、先ほどの違和感の正体がまだ晴れていない気がして胸の辺りに嫌な物が残るのを感じた。


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