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Pandora   作者: 夕の満月
第二章 願望
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太陽の陰②

 レオンは気を失ったのか動く気配を見せなかった。背を見せ立ち去ろうとする彼女へ向けもう一度名を呼ぶ。初めほどの勢いはなく、すがりつくように。

 その声に振り向きフードを外すアイラの瞳は赤く綺麗で、どこか感情を隠すように表情の無い顔をしていた。

 凛とした顔立ち一人でも歩んでいける、そう物語るように。


「今まで騙していて悪かったわね」


 言葉に抑揚は無く淡々と告げる。


「私と一緒にいたら追われることになるわ、ここでお別れにしましょう」


 乾いた笑いが自然と口をつく。


「アイラが人の心配だなんて、らしくないよ。普段みたいに何食わぬ顔で‥図々しく一緒にいればいい」


「ふふ、散々な言われようだなあ」


「アイラさん! 私もアイラさんと離れたくないです!」


 息も切れ切れで発したシズクの言葉にアイラはうっすらと笑顔を浮かべた。


「あーあ、シズクちゃんに言われたらしょうがないかなあ」


 僕の言葉は何だったのだ‥‥口には出さず思い留める。それを言ってしまうのはこの場にふさわしくない、そう考えて。

 倒れ動かないレオンに目を向け、起き上がる前に逃げるよう提案する。急ぎ町から出るため僕達は走り出した。



「やれやれ‥」


 今回だけ‥‥自分は意識なく見逃すことしか出来なかった。心に言い訳をし、一人立ち上がる。星の見えない空を見上げ、まだ捉えていない魔族を探すため町の灯りの中へと消えていった。


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