禁断の果実③
「ごめんなさい突然お邪魔して」
ベットに横になっていた男性は上半身を起こし首を振った。
「いいよ。何もない所だが、気にせずゆっくりしていきなさい」
男性はやせ細っており、遠目にも骨ばった身体が見てとれる。挨拶を済ませ気も緩んだのか、荷をほどき思い思いに寛ぎ始めた。
「採れたばかりだから、良かったら食べてね」
女性はテーブルに様々な果物を置く。ブドウやイチジク他にも見たことの無い物が並べられた。星の形をした物もありアイラとシズクは物珍しそうに次々と手を伸ばしていく。つい食べ過ぎてしまいお腹が悲鳴をあげる。どうやら二人とユラも同じような状態だというのが表情からみえた。
「出し過ぎちゃったみたいね。夕食はどうする?」
断りをいれテーブルに出された飲み物でひと息つく。ふと気になったのかアイラがなぜ山に二人で暮らしているのか聞く姿が見える。女性は少し悩んだように唸り声を鳴らし、紙芝居や昔話でも語るように話してくれた。
あるところに三人の仲良し組がいました。三人は何をするのもいつも一緒です。村で元気に暮らし、いつの間にか大人と呼べる年を迎えます。
大きくなった三人のうち一人が突然に村の人々に悪者と呼ばれるようになってしまいました。彼女は悪い事をしていなかったのにです。
そんな彼女を守る為に二人はどこか遠くに逃げよう! そう声をかけました。その声に二人を巻き込む事が出来なかった彼女は、一人何処かに消えてしまいました。残された二人は悲しみに涙を流します。
それを見た村の人達は二人を忌み、村から追い出してしまいました。
「お終い」
「ごめんなさい‥」
「ん? いいのよ終わった事だし、私たちはこう見えて楽しく暮らしているしね。はい、悲しい顔はお終い」
彼女はアイラの頬を両手で挟み軽く叩く。誰かに話したかったしすっきりしたと声をかけ暗くなっていた窓に目を向け睡眠を促す。言われるがままに、寝る支度をして眠りにつく。
翌日、彼女たちにお礼を言い近くの村へ向け歩き出す。彼女にもらった大量の果物は鞄に入り切らず、僕の手には重みのある袋がぶら下がっていた。
アイラは袋からりんごを取り出しかぶり付く。シズクも真似をしたいのか羨ましそうにアイラを見つめ袋に視線を落とし一瞬不思議そうな顔をして一言呟いた。
「そういえば、こんなに色々な種類の果物が同じ時期に採れるんですね」
言われてみれば、そうかも知れないと思ったが特に気にもとめず歩き続けた。




