禁断の果実②
魚も頃よく焼けてきたかと思われた時。付近の草場が揺れこちらに向かって歩いてくる足音が聞こえてきた。
揺れ動く草場に身構える。女性の声が聞こえ顔がひょっこりと見えた。草に阻まれ首から下は目視できず、今が夜であったなら驚きに声を上げていたかもしれない。
「あ、良かった火事かと思ったよ」
安堵の表情を浮かべ女性は火にかけられた魚を見つめていた。
「良かったら、一緒に食べていきます?」
「あ、ごめんごめん。そんなにほしそうな顔してた? 遠慮なく混ぜて貰おうかな」
僕の分の魚を手渡し女性は火を囲むように腰かける。美味しいと頻りに声を上げながら和かな顔で食を進めていく。
「煙に釣られ来てみたら楽しそうな声が聞こえてきてね。君達はこの付近の人?」
たまたま入った山で道に迷いどうしようか考えていた所だと伝え、この付近の人? の言葉に付近に町がないかを尋ねていく。どうやら山を下り少し進んだ先には村がある事を聞く事ができた。
「こんな綺麗な女の人達に囲まれて君は幸せ者だねー」
女性に同調して、ねー とアイラが声を重ねていたが無視をする。シズクは気にせずユラと魚に夢中になっていた。人見知りをするのか女性からは少し距離を置いている様子が見てとれる。
「そうだ! ここから村まで、まだ距離もあるから私の住んでる家に来なよ」
この付近に小屋を建て暮らしているのを聞いた僕達は、女性の提案にのる事にした。女性に連れられ自宅へ向かう。
「残念ながら私一人で暮らしている訳では無いけどね」
アイラも残念だったねと肘で小突いてくる。いつもより頻度の多い僕へのからかいに若干の鬱陶しさを覚えた。
男性と二人暮らしで、男性は体調を崩し寝たきりの生活を続け、身の回りのことは女性が請け負っているそうだ。話しているうちに女性達が暮らしているらしき小屋が視界に入る。
「ちょっと待っていてね。彼に君達の事を伝えてくるから」
返事を返し小屋の周りを見渡すと建物の裏には畑が見え彩り鮮やかに食物や花が咲き誇っているのが目に止まる。幾ばくもなく、女性は姿を現し中へと案内された。




