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8.余計なお世話です



運ばれてきた小葱がタップリと掛かった『鶏もものたたき』に七海は目を輝かせた。

軽く炙られた半生の鶏ももが少し小さめの食べやすいサイズに切られていて、ポン酢と甘酢醤油で和えてある。七海はこれが大好物で、ついつい箸が止まらなくなってしまうのだ。


「……お前こそ、どうなの?」

「はにが?」


モグモグと鶏もも肉を頬張りつつ応えると、黛が赤ワインを一口飲んでから目を逸らしたまま言った。


「彼氏できたか?」

「……」


七海は聞こえない振りをした。


「美味し過ぎる!黛君も早く食べないと無くなっちゃうよ~」


そして鶏もも肉をパクパクと口に放り込んだ。


「お前、ひょっとして処女?」

「ぐはっ」


ポン酢のたれが気道に入り込んでしまった。


「グッ……エホッゲホッ……」

「大丈夫か?」


黛が咳込む七海の顔を覗き込んだ。


七海は胸をトントンと叩きながら、黛をキッと睨みつけた。

黛は自分が発した失礼な(図星な)台詞を何とも思っていないような顔でキョトンとこちらを見ている。そんな顔も一部の隙も無いほど整っているのが、七海には物凄く腹立たしい。


「水飲め」


黛に差し出されたコップを、七海は素直に受け取った。


そしてごくごくと飲み込み、胸のつかえが取れてホッと一息ついた所でさらに容赦ない追い打ちをかけられた。


「まさかキスもした事ないとか言わないよな?」




スクッ。




七海は立ち上がった。


「七海?」

「お手洗い行って来る!」


もうこれ以上の精神攻撃には耐えられないと、七海はトイレへ逃げ込んだのだった。



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