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67.お土産たくさん

二子玉の焼き鳥屋さんのテーブル席で、唯は得意気に戦利品の説明を始めた。

本田は仕事で不参加。メンバーは唯、七海、あらた亜理子ありすの四人だった。


「じゃあまずこれね、じゃん!『パティスリーブランのふろまるーじゅ』」

「おおー、有難う。唯」


七海は笑顔になって可愛らしいピンクの箱を受け取った。すると向かいに座った亜理子が続けて「じゃん!」と言った。


「私と新からは『ささみくんせい』!散々試食したから味は保証するよ!」

「亜理子ちゃん、渋い……」


七海はちょっと複雑な気持ちに成った。

別れた時、中学生だった彼女はピュアでとっても愛らしかった。動くお人形みたいに見えたのに。なのに再会したと思ったら、お酒のツマミを土産にするオジサンのような感性に育ってしまった。

唯はアハハと笑って「もういっちょ、私とポンちゃんから」とスナック菓子を取り出した。


「『ゴボウッチ』?」

「九州産ゴボウをスライスして揚げたゴボウチップス?て言うのかな?家用にも買ったよ。プレーン醤油とピリ辛とブラックペッパーの三種類!どうだ!」

「俺も亜理子も買ったぞ。ハマった」


新がそう言って、亜理子と頷きあった。


「へ~ありがと。何か一杯貰っちゃってゴメンね。でもどれも美味しそう!」


七海が笑顔になると、唯が胸の前で手を叩いて思い付いた事を口にした。


「今度、七海も宮崎一緒に行こうよ」

「え!遠慮するよ~、リア充にあてられたくないし……」

「えっでも、七海にはのぶっ……」

「わぁあ~!ゆ、唯!」


不用意な唯の台詞に、七海は慌てて彼女の口を塞ぐ。


「の……?」

「ぶ……?」


新と亜理子が同じ方向にコテン、と首を傾げた。

数秒後、新が大声で叫んだ!


「七海、のぶなんかと付き合ってるのか?!」

「ぎゃぁあ!ちがっ……」

「止めとけ!身内だから敢えて言うが、体が幾つあっても足りねーぞ?」


真剣に、精悍な眉を顰める新。

信に似たその顔で言われるのは―――本当に忍びない。


「でも七海が『おねーちゃん』って、スッゴく楽しそうじゃない?家族旅行とかキャンプとか、お正月とか……家族になったらいっつも一緒なんだよ?」


唯がワクワクした様子で身を乗り出した。


「確かに。楽しそう」


亜理子が同意を示すと、新も「ふむ……」と顎を撫でた。

そして思案気に黙り込む。


数秒後、新は七海をまっすぐ見つめて、肩にポンと手を置いて爽やかに笑った。




「『七海ねーちゃん』よろしくな……!」




七海は顔を真っ赤にして、俯いた。

そして暫くするとプルプル震え出し、だぁっと顔を上げて目を瞑って言い切った。




「なしっ!その話ナシになったから……!」




ちょっと、本当にすこーしだけ……泣きたくなった七海だった。



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