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52.頼もしい人

のぶ君かぁ~」


唯が腕組みをして唸った。

その反応を見て何となく七海はホッとしてしまう。


「そうだよね、そういう反応になるよね」

「うん?」

「黛君に言ったら、『良かったな』って言われてちょっと違和感があったの」

「え!七海、黛君に言ったの?信君のプロポーズの事」

「ぷ、プロポーズって……付き合ってとは言われたけど……」

「『結婚を前提に』ってプロポーズじゃない。で、何で黛君に?」

「うーんと、成り行きで……言うつもりは無かったんだけど……」


七海はかくかくしかじかと、一昨日の出来事について説明した。

今日は月曜日。信の申し出にパンクしそうだった七海は、テスト明けの唯に連絡して泣きついた。そして以前黛と一緒に来た二子玉の焼き鳥&ワイン居酒屋に唯と飛び込んだのだ。


「そっかー……まあ黛君の言う通り、信君も本気を出せばもうちょっと色々整理できるとは思うよ?基本的に浮気もしないし、優しいし……良い旦那さんになるとは、思う」

「そ、そう……?」

「女友達の件は、信君が『彼女』をちゃんと優先すれば解決するかもしれないけど……ただ……」


唯は肘を付き手に顎を乗せて、溜息を吐いて言った。


「ストーカーがねー……、こればっかりは信君がキチンとしても解決するかどうかわからないし。それにまず、信君に女の人が寄って来なくなるイメージが湧かないなぁ」

「うん……良い人なんだけどね。信君のサークル仲間も言ってた『女の争いに巻き込まれるから離れたほうがいい』って」


七海も溜息を吐いて頷いた。


「でも―――」


唯が顔を上げて七海の顔を覗き込んだ。

その瞳がキラキラと輝き始める。


「信君と七海が結婚したら―――私達、義姉妹になるんだね?」

「そっか……そう言う事になるね!」


七海は言われて初めて気が付いた。

唯がフフフと笑って、七海を見る。


「それはスッゴく魅力的だなぁ……そしたら信君が駄目でも私が七海を守るからね!」


何とも頼もしい台詞に七海の胸はホンワカと温かくなった。




唯がいてくれるなら、きっと大丈夫。

―――彼女に断言されるとそんな気がしてくるから、不思議だった。


一瞬前まで不安で溜まらなかった信との付き合いに立ちはだかる障害が、気にならなくなるくらいに頼もしく思えたのだった。



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