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Crow in the dark 贖罪の山羊  作者: えむ
〇〇二
7/45

03

 声に気付いた現場監督が足場から身を乗り出して手を振る。


 それにつられてシルベスタも下を覗き込むと、カーキ色の薄手のパーカーを羽織った女の姿が目に入った。


 女は手を振りながら声を張り上げる。


「遅れてスミマセーン! ただいま到着でーす!」


 作業員の一人だろうか。


 それにしてはパーカーの下にワイシャツを着ているし、下はスーツパンツだし、足元は革靴だしで格好が場違いだと、シルベスタは自分を差し置いてそう思う。


「あれは……?」


 一体誰だと尋ねると、現場監督はきょとんとした様子で、


「え? アンタの仲間だろ」


「…………は?」


 数瞬の沈黙をもってきょとん顔を返すシルベスタに、現場監督は呆れながら言った。


「いや、だから多面担当のロニちゃんだろ」

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