表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Crow in the dark 贖罪の山羊  作者: えむ
〇〇一
4/45

04

 ともすれば、今の自分が窓際にいるのは自分のせいである、という現実を受け止めなければならないのは明白だった。


 そんな、突きつけられる暫定的な現状を把握し始めるシルベスタの耳に電話の着信音が飛び込んできたのは、力なく椅子に腰を落とした直後のことだった。


 じりじりと五月蝿い着信音を止めたのはグスタフの手。


「はい、こちらシチメンドウです」


 ブリキで修理された継ぎ接ぎだらけの受話器を耳に当て、グスタフは「ほう」、「なるほど」と適当に相槌を打ちながら二、三度頷いて手短にやり取りを終える。


 そしてがちゃりと受話器を置いた直後にはシルベスタの方を見ていた。


「シルベスタ君、早速で悪いけど仕事入っちゃった」


「……本当に仕事ですか?」


「ああ、仕事だよ。すごいやつ」


 係長の人好きのしそうな笑みがやけに腹立たしく感じてしまうシルベスタだったが、上司の命令とあらば動くのが部下の務めである。


 それに、現実を理解するには現状に身を置くことが手っ取り早いのも事実。


 窓際としての第一歩。


 ──……ままよ。


 心の中で嘆息を漏らしてから、シルベスタは敬礼した。


「イエス・サー!」


「気を付けて、行ってらっしゃインジェラ!」


 インジェラ。


 薄く焼かれたスポンジケーキのようなパン。


 いや、そんな事は重要ではない。


「係長、敬礼が左手になってます」


 慌てて敬礼し直すグスタフの表情は、やはり人好きのする笑顔だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ