SSS・その3「天才ロボット博士の製品化 面会編」
製造工場の社員が、天才ロボット博士の噂を聞きつけて訪問した。
なんでも飛びぬけて高度なロボットを作り出したとかで、彼は博士のロボットの製品化を提案しにきたのである。
彼が家の中に通されると、目当てのメイド姿のロボットがいた。どこからみても人間の姿をしてるし、それ以上に美しい。言葉も理解し、炊事・家事の手伝いをするという。
それはすばらしい。
すぐに商品にして売り出しましょう。
彼はとっても大喜び。
なのに、その美しいメイド・ロボットがいる割には天才博士の部屋は片付かない。
不思議に思っていると、メイド・ロボットがお茶を出す。が、彼女はつまづき、転倒する。お茶が床にこぼれて広がった。
ロボットなのに失敗した。
天才博士は慌てて床を拭いたが、その顔はなぜかすごく嬉しそう。
当然、彼は質問した。
なにがそんなに嬉しいか。
「まったく。どじっ子メイドは最高だぜ」
製品化は見送られた。