The Road of FUNDOSHI ~それゆけ!ふんどしマン!!木曜日編~
お久しぶりです。前作を読まなくても話の内容はわかると思いますが・・・読んでおくことをおすすめします。(宣伝)
はらりと一枚。また一枚。はらりはらりと舞い落ちる赤く色づいた葉。
季節はもう秋である。
夏の間は瑞々しく緑に輝いていた葉たちも今はすっかり赤や黄色に衣替えをした。
ああ・・・秋だなあ・・・・・。
私はそんな秋の景色を堪能しながら公園のベンチにのんびりと座っていた。そうやって、ぼーっと自然の美しさに見とれていたら。
「あ、すみません。ちょっとお時間いいですか?」
突然、何者かに肩を叩かれた。
何だ、敵襲か!?誘拐か!?怪奇現象か!?
振り向くとそこには中年のやや疲れたオヤジの顔があった。
服装を見るに、どうやら警察官のようだ。
なんだ警察官かビックリした。驚かすなよ・・・・・って、え!?
警察官!?私、何かしたか!?えっと、えっと最近はゲームの違法ダウンロードもしてないし、18歳未満だけど18禁コーナーに帽子とマスクで誤魔化してこっそり入ったりもしてな・・・・あ、いやげふんげふん。
とにかくなにもやってないはずなんだが。
と、とりあえず私に何か用か?
その中年警官に恐る恐る聞く。
「いやあ、なんだかこのあたりでふんどし一枚で外を徘徊する変質者が度々目撃されていると情報があってね。そういう通報は今までに何度かはあったんだけど最近は特に多くて。ほら、このあたり子どもたちも多いし。万が一のことがあったらと親御さんも不安だろ?それでこちらとしても何か手は打たないと、と思ってね。とりあえず、情報が少なくて。君は何かそれについて知らないかい?」
知ってるも何も・・・・・・。
心辺りありまくりんぐ。
それってバリバリふんどしマンのことじゃないか。
あいつ、通報されてたのか。
まあ、そうだろうな。
いつもふんどし一枚でそこら辺を駆けずり回ってたもんな。
通報されないほうがおかしい。
あいつもとうとう警察のお世話になるのか。
可哀想に。
私は心の中でできれば知り合いになりたくなかった知り合い、ふんどしマンに合掌。そして。
おまわりさん、聞いてくださいよ。と今までのふんどしマンの悪行?ではないが不審的な動き(それゆけ!ふんどしマン!!月曜日編~水曜日編参照)を一通り話した。
中年警官は最後までしっかり聞いてくれ、いくらかメモをとった後、
「ご協力、感謝するよ」
と言い、私の元を去っていった。
それから、私がふんどしマンの姿を見ることは二度となかった。
嗚呼、さらばふんどしマン。
最後だし、一回くらいは言ってやろう。最初で最後のありがとう。
あなたと出会えてよかった。
うぼげろ(キラキラ)。
ふう。どうやら慣れないことをいってしまった為、気持ちが少々優れなくなってしまったようだ。やはり駄目だな。慣れないことをするのは。
まあとにかく。
私とふんどしマンの物語はここで終わったのだ。
皆様、長らくのご愛顧、どうもありがとうございました。
「いや待ってちょっと待って!?」
うるさい。今いいところなんだ。
「私は!?私の存在はどうなったんだ!?」
お前なんか終身刑だ。一生牢屋から出てくんな。
「それはひどいよ!私と君の仲じゃないか!」
ええい黙れ鬱陶しい。大体な、何でここで貴様が出てくるのだ。おかしいだろ文脈的に。皆きっとお前が誰か把握してないと思うぞ。
「ええ!?それは困るなあ。みなさーん!!私の名前はふんどしマンでーす!正体不明。お茶目なこの町の正義のヒーローでーっす!!」
またお前はそんな近所迷惑になる馬鹿でかい声で叫んで・・・・・。
兎に角。
いきなり登場してきたこの白縁のサングラスをしたふんどし一枚の男。
まぎれもない。こいつが巷で噂のふんどしマンである。
ところでお前、警察に追われてたけどいいのか?そんな堂々と出てきて。
「あー、いいのいいの。どうせ常人に私の姿が見えるはずないからね」
「いたぞ!恐らくあいつがふんどしマンだ!!」
「手錠の用意!」
「早急に逮捕せよ!」
あれ、何か警察官の人らしき声が遠くから聞こえる。幻聴かな?
「・・・・・・・」
思いっきり見えてるじゃないか。
何が「常人には見えない」だ。
どうするんだよ。私まで共犯と思われるかもしれないじゃないか。
「・・・・じゃ、」
ん?
「そゆうことで」
おいーっ!?
私を置いていくな!!どうするんだよ!!
こっちに向かって走ってくる警察官に私はどう対応したらいいんだよ!?
「・・・あれ。君、さっきの」
ほらーっ!!
もういい、私も逃げる!!
「あ、待って、さっき一緒にいたのは」
知らない知らない!私は何も知らないぞ!わーっ!!!!
--------中略---------
いやー・・・・秋だなあ・・・・・・。
綺麗な景色だなあ・・・・・・・。
「そうだねえ」
お前にも景色を楽しむ心はあるのか。
「そりゃあ、私も人間だからねえ」
そうかそうか。ま、どうだ一杯。
「おお、悪いね」
「・・・・・・」
何だ。
「注いでくれないの?」
当然だ。何を甘えている。自分で注げ。
「はあい・・・(´・ω・`)」
ここは先ほどとは少し離れた場所にある公園。
私たちはそこのベンチに座っている。
辺りに人の姿は、ない。
警察官から逃げてきてたどり着いた先。
しかし、それも一時のことだろう。
すぐに新たな避難場所を見つけなければいけない。
私達の戦いはまだ終わってはいないのだ。
いや、逃走劇とでも言うべきか。
しかし、何故私がこんな目に。
私は何もしてないのに。悪いのは全てそこのふんどし姿の露出狂なのに。
お前さえいなければ私はこんな・・・・・
「まあまあ、これも一種の練習ということで」
何だ、聞こえてたのか。
「丸聞こえだよ」
まじかよ。ところで練習って何のだ。
「もちろん、愛の逃避行!すなわち・・・・ランデブー・・・・(はぁと)」
おえげろ。
本日二度目のリヴァー・ス。
私が逃避行など。
は。
「わかんないよ?今の内に練習・・・・しておく?」
そう言って顔をこちらに近づけてくるふんどしマン。
ええいやめろ気持ち悪い!じんましんが出る!!
「あれー、貴方もしかして男アレルギーですかあ?」
違う。ふんどしマン、即ちお前アレルギーだ。
「そんなアレルギーあるの?」
少なくとも私には発症している。
「それって・・・・私は君にとっての特別ってことだよね・・・・?」
お前の都合のいい解釈の仕方にはほとほと呆れるよ。
まあ、現にこうして約束もしていないのに、この広い町内で何度も遭遇してしまっているのだから、何か運命的なものはあるかもしれないがな。
まったく、神様を恨む。
「もう、君は照れ屋さんなんだから。素直に嬉しいって言えないんだね。いい加減デレ気を迎えたらどうだい」
あー・・・・ところでこの状況どうしよう・・・・・。
もう帰りたいな。
「無視しないでくれるかな」
私は悪くないし、帰るか。
じゃあな。
「あー、待って待って!ごめん!お願い!いかないで!」
私が立ち上がった途端に腰に抱き付いて泣きついてくるふんどしマン。
キモい!
私はそれを足蹴にする。
お前が悪いんだから大人しく自首しろ!
「私は悪くない!!私は正義の味方なんだ!!ただ、正義の味方故に目立ちすぎてしまうだけなんだ!!」
あっそ。
というかふんどしだから目立つし警察に追われるわけで、一回服を着てみたらどうだ?
私がそう提案するとふんどしマンはしばし、黙り。
「なるほど」
と手を打った。
「よし!じゃあ服を貸してくれ」
まじか。
いや自分で言ってなんだけどそのふんどしに特にこだわりはないんだな?
「いやー、実は自分ふんどししか持ってないのでなんとなく・・・・」
ふんどししか持ってないんだ。
「ということで服を貸してくれ!」
まあいいが・・・。
私の服は女物だぞ?
「構わないさ!」
そしてふんどしじゃなかったらお前はただのマンだぞ?
「うっ・・・それは少し悲しいが背に腹は代えられない!」
そうか・・・。わかった私はもう何も言わない。
さすがに下着は貸せないが、これで警察の目から逃れられるなら・・・・!
決心し、私は着ていた服を脱いだ。
そしてふんどしマンに差し出す。
「・・・・え?」
ふんどしマンが面食らった顔をする。
何を躊躇っている?お前から貸してくれといったのだろう?
さあ!着るのだ!!私は少し寒いがこれくらい何ともない!!
「え?いや、あの、貸してくれってそういう意味じゃ・・・・」
いいから早く着るんだ警察に見つかりたいのか!?
そのとき。
「こら!そこのふたり!健全的な子供たちの遊び場、公園で何をしている!」
声が聞こえた。
あ。
「いかがわしいことならホテルか自宅でやってくれ!」
警察だった。
こちらに向かってくる。
・・・よし。逃げよう。
このまま自宅へ帰ろう。
幸いにも自宅からはさほど遠くない。
私はクラチングスタートの体勢になる。
スーハースーハー。呼吸を整え、逃げる経路を確認。
「あのーえっと・・・?まさか・・・?」
一人、場面についていけず、狼狽えるふんどしマン。
じゃあな。警察のおっちゃんと仲良くな。
フォーメーションセット。スタートまで3,2,1・・・・。
ダッシュ!
私はそのまま下着姿で自宅まで走り去った。
その後、ふんどしマンがどうなったのかはわからない。
読んでくれてありがとうございました。この話を描き始めたときはまだ夏だったのにいつの間にか秋に・・・。季節通りに投稿できてよかったです。次回はもう少し真面目に書きます。