第二章 3
翌日、
めろんの家で二人の言葉を聞いた時、アルトは叫ばずには居られなかった。
「『上級執行官と戦った!? どうしてそんな危険な事をしたんですか!』」
「そう言われても逃げられるような相手じゃなかったんじゃよ。あの天羽狂志郎とかいうスマシ野郎は」
「『あ、天羽狂志郎だって!?』」
その言葉を聞いたアルトは驚きのあまり卒倒しかけた。上級執行官は一人で軍と渡り合えるとされる程の力を持つ人物とされている。その中でも天羽狂志郎と言えば『神の手』とも例えられる程のバリア構築技術を持っており、一対一の戦いでは執行官の中でも最強との噂が高い。
五体満足で帰れた事はほぼ奇跡だ。アルトは無事で本当に良かったと何度も何度も繰り返した。
「『こんな幸運、二度とありませんよ。あなた達は追われる身なんですからスクウィールの相手はめろんに任せて大人しくしていてくださいよ』」
のかなは素直に頷く。
「『うん、そうするよ。もう一度戦ったら勝てる気がしないし…………』」
はぁ、とことかはため息をつく。
「だけどホントにムカつくんじゃよ。何も悪い事してないのに追われる身なんてね。ふざけるのもいい加減にするんじゃよ」
申し訳なさそうにアルトは言う。
「『すいません、僕も手を尽くしてはいるんですがなかなか難しくて。できるだけ早くなんとかしたいとは思っているんですけど…………』」
「あーもう! いっそ黒幕っぽいのが出てきてそれを倒すだけなら簡単なんじゃけどなぁ…………」
のかなは苦笑を漏らす。
「『そんな簡単な事じゃないって』」
でも、本質はとても単純だ。誰もが過去と向き合うことが怖くて逃げている。いくら逃げたって過去からは逃げられるはずがないのに。いつかは真実に追い付かれる、それを追い求める者が居る限り。
(いつかは私も…………)
のかなは彼の事を、前のパートナーの事を思い出す。彼を探し続ける限り、いつかきっと真実と対面することになる。
だが、同時に真実を知る事を恐れる気持ちもないわけではない。あの時彼が言ったことが全てであるという可能性。それは決して低くない。それでものかなは知りたいのだ。あの時の真実を、この怒りが本当に正しいのかどうかを。
「『お二人が襲われたという事はもうめろんとの勝負などと言っている場合ではありませんね。僕たちも全力で協力させてもらいます』」
「それはありがたい話じゃな。けど、望夜は本当に役に立つの?」
「『試してみますか?』」
「い、いやちょっとま」
にやりと不敵な笑みを浮かべたアルトは窓から身を乗り出し、外で花に水をあげているめろんに向かって呼びかけた。
「『おーい、めろん。ことかさんが君と手合わせしたいって言ってるよ』」
「ことかちゃんが? うん、いいよ」
二つ返事を聞いたアルトは室内の二人を見た。
「『だ、そうです』」
はぁ、とため息をついたことかは失敗したというような顔をした。
「軽い冗談じゃったのに…………」
こうして期せずしてことかとめろんが模擬戦をする事になった。さすがに装備の性能差がありすぎるということでめろんの装備には制限がかけられているがめろんの実力が未知数である以上、それが試合にどれほどの影響を与えるのかは分からない。だが、制限をかけるからにはそれなりの実力があるということは間違いないだろう。
マテリアルドライブが構築する仮想空間の闘技場に降り立ち、二人は対峙する。
「ま、せっかくやるんならこっちも本気じゃけぇ。いくら性能差があっても魔法少女歴はこっちの方が長いんじゃ、技術の差を見せつけてやるけぇね」
「よろしくね、ことかちゃん」
試合前に握手をした二人はお互いに一定の距離を取った。
「『マテリアルドライブによる仮想空間戦、ルールは公式戦の物をアレンジして使います。ダメージフィードバックなし、クリティカルありの反則無しです。ライフはお互いに四千ポイント、魔力は両者の能力に依存という事でいいですね』」
「ああ、平気じゃよ」
「うん、大丈夫」
両者の準備が完了した事を確認するとアルトは大きく息を吸った。
「『それでは…………試合開始!』」
かーん、と開始のゴングが鳴る。それと同時に動いたのはことかだ。手を前に出し、何かを握りつぶすように閉じる。
「黒の法則を統べるBMGの名において告ぐ、【爆ぜろ】空間!」
一切のタイムラグ無く、めろんの周りが爆発する。単純ながらも強力な先制攻撃だ。辺りは爆発の黒煙に包まれる。
理解できないのかなはアルトに問う。
「『何が起きたの? ちょっとよく分からなかったんだけど…………』」
「『おそらくベルテルス式複合魔術の応用でしょう。空間に“爆発した”と思いこませたんだと思います。でも普通は目の前くらいしか爆発させられないはずですから、ことかさんは余程支配力が強いようですね。これほどのコントロールとパワーを持つ魔法少女はそう居ませんよ』」
「はっはっはー、褒めてもアメちゃんくらいしかでないよ、アルト君」
(出るんだ、アメちゃん…………)
にやっとアルトは笑う。
「『でも、ウチのめろんはもっと凄いですよ』」
「へぇー、そうなの」
ことかは余裕の表情で黒煙が晴れるのを待っていたが、やがてそこに杖を大砲のように構える無傷の少女を確認するとその表情は驚きに変わった。
「なっ!? 無傷じゃと!」
「今度はこっちの番だね」
既にめろんのチャージは完了している。ことかは急いで回避行動を取った。だが杖の先に集められた暴力的な光はもう解き放たれていた。
「ハイパープラズマシュート!」
それは一瞬の出来事だった。攻撃が放たれたと思った瞬間、光が世界を包み全てを吹き飛ばした。遠く離れた観客席で見ているのかな達にもその余波は届き、のかなは凄まじい突風に身を屈めた。
「『ちょ、ちょっとアルト君! これ本当に制限かかってるの!?』」
「『ええ! これで制限アリです!』」
「し、死ぬぅぅぅぅぅぅ!」
冗談とした思えない攻撃を神がかり的な回避でなんとかかわすことのできたことかだが、無理な回避のために魔法制御回路がオーバーヒートを起こし、地面に着地する。
肩で息をしながらことかは膝に手をつく。
「はぁー…………はぁー…………。なんじゃあのパワーは! 化け物か望夜は!」
だが、あれだけの攻撃だ、しばらくは何もできないだろう。そう思い、空を見上げたことかは信じられない物を見る。
そこには第二射を構えるめろんの姿があった。
「『そうそう言い忘れてましたが、アレ、二発まで連続して撃てるんですよ』」
「う、嘘じゃろおおおおおおおおおお!?」
ことかの叫びがむなしく響き、無慈悲に光が放たれた。
「シャイニングプラズマブレイカァァァァァ!!」
いまだに放熱中のことかは仕方なしに走って逃げるが、もちろん逃げられるはずもなく闘技場にはめろんの勝利のファンファーレが鳴り響くのであった。
「やったぁ! ぶい!」
真っ黒焦げになったことかは目をぱちぱちとさせてけほっ、と煙を吐いた。
「もう望夜とはやらん………でたらめすぎるんじゃよ…………」
こうして新世代と旧世代の魔法少女の交流は終わった。圧倒的な力に茫然とするのかなにめろんは笑顔で手を振ってきたが、のかなは凍りついた笑みを返すのが精いっぱいだった。
(わ、私はあんな子とやろうとしてたの? もし戦ったら一瞬で消し飛ばされちゃうよ…………)
狂志郎との戦いがなければ黒こげになっているのはことかではなく自分であったという事実にのかなは背筋が寒くなる。
それを見たアルトは意地悪げな笑みを浮かべた。
「『のかなさんも対戦してみませんか? きっとめろんの強さを体感できると思いますよ』」
そんなことになったら大変だと慌ててのかなは断った。
「『だ、大丈夫です。じゅ、十分わかりましたから!』」
「『そうですか…………残念ですね』」
のかながひやひやとしているとめろんが観客席にやってきた。そして、空中で足をばたばたとさせながら猫のようにのかなにねだる。
「ねぇー、のかなちゃんもやろうよぉ。こんなんじゃ準備運動にもならないよぉ」
「『は、はうっ!? そ、それは…………』」
死神からの指名を受けてのかなはだらだらと冷や汗を流す。絶対に戦いたくはないが、二人から勧められては断りきれない。しかも、のかなは元々戦う約束をしていたのだ。それは無くなってしまったものの、めろんとは戦う義理がある。まして無償で協力してもらえるのならば、これくらいの対価は必要だろう。
「『え、えーと、あの、その…………』」
にこにこと満面の笑みでめろんは待っている。この純粋な笑みを壊すことはのかなにはできない。しかし、戦いは避けたく、その板挟みにのかなは頭を抱える。
(だ、誰か助けてぇぇぇぇぇ!)
のかなが心の中で悲鳴を上げていると、不意にどこかから声が響いた。
「望夜、まだ終わってないよ。もう一戦じゃ!」
(ことかちゃん!)
のかなの心境を察したことかが助け舟を出す。その姿は今まで見てきたことかの中で一番頼もしくのかなには映った。
(ふっ、スマシ野郎の時の借りは返したよ)
(ありがとう、ことかちゃん…………)
友情というもののありがたさを改めてのかなは実感した。ことかは次の瞬間には消し炭になっていたが、それでもことかの頼もしさは変わらなかった。
「スパイラルプラズマシュート!」
「ほげぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「『ことかちゃぁぁぁぁぁん!』」
めろんが満足するまで戦いに付き合わされたことかはもはやよくわからないものへと変化していた。その姿を見たのかなは遠くの空に思いをはせる。
「『ことかちゃん、あなたの事は忘れないよ…………』」
「あ、あの、私まだ生きとるけぇね、勝手に殺さないでほしいんじゃよ…………」
とりあえず満足したらしいめろんはのかなに笑いかける。
「次回はのかなちゃんも遊ぼうね。私、がんばってもっと強くなっておくから!」
「『う、うん、そうだね…………』」
仲間としては心強い言葉であるがのかなとしては複雑な心境であった。
仮想空間よりログアウトしたのかな達はお茶にすることにした。しばらく、お互いの学校の事などを楽しげに話していたが思い出したようにめろんが立ち上がった
「あっ、そうだ。のかなちゃん達が来るって聞いてたからクッキーを焼こうと思ってたんだ。そろそろ生地が冷えるから、ちょっと作ってくるね」
そういうことなら任せてとのかなも立ち上がる。
「『私も手伝うよ。お菓子作りは得意なんだ』」
「そうなんだ。じゃ、手伝ってもらっちゃおうかな?」
好きなお菓子などを話し合いながら仲良さげに二人は台所へと行く。静かになった部屋でふぅとことかは息を吐いた。
「天真爛漫って感じじゃなぁ。本物の魔法少女じゃよ」
くすりとアルトは笑う。
「『言いたいことは分かりますよ。めろんは純粋ですから』」
ことかは困ったような曖昧な笑みを浮かべる。
「今更じゃけど、私たちと付き合っていいのかなぁ。まがいなりにも指名手配犯なんじゃよ? 望夜は迷惑じゃないのかなぁ?」
「『損得勘定で付き合うのが友人というわけではないでしょう? それにあなた方が友達ではなかったとしてもめろんは手を貸したと思いますよ』」
はぁ、とため息をつき落ち込んだようにことかは言う。
「敵わんなぁ…………望夜にも、のかなにも。あいつらが眩しすぎて自信が無くなってしまうんじゃよ…………」
「『落ち込むことはないですよ。あなたもベルテルス式の魔法を持つ凄い魔法少女じゃないですか』」
ほめられて悪い気はしないが、そういう事ではないとことかは言う。
「まあね。技術は負けてないのは分かるんじゃ、むしろ二人と比べても純粋なそれは抜きん出てるといってもいい。それでも魔法少女としては劣っている気がしてしまうんじゃよ」
「『心が伴わないからですか?』」
「ああ。私はパートナーを殺された日から復讐を誓った。私怨で戦う魔法少女なんて、最低じゃ。それを分かっていても、私はマリー=マールを殺さなければと思う。私怨だけじゃない、ヤツの存在は世界を乱す、ヤツを生かしておいてはいかんのじゃ」
「『でも、本当は止めてもらいたいと思っているんでしょう?』」
ことかは目を伏せてしばらく無言になる。やがて皮肉めいた笑みを浮かべた。
「さあね。まだ分からない。私は復讐に取りつかれた囚人じゃ、まともな思考なんて塵も残っておらん。もし、マリーを殺す事を迷う時があるとしたら、その時はのかなの判断に任せるよ」
やはりという顔でアルトは語る。
「『のかなさん、ですか。実質一人で上級執行官を撃退したと言いますが信じられませんね。まあ、嘘にしては大げさすぎるし、ここに居る事実を考えれば信じるしかないですけどね』」
「実際に見た私も信じられないんじゃ、無理もない。あれだけの強敵を倒しておいて、今日のヘタレ具合じゃ私もあれは夢じゃったんじゃないかと思うよ」
アルトは苦笑する。
「『うーん。確かにそうですね…………』」
台所からのかなのテレパシーが響く。
「『ことかちゃーん、アルトくーん。クッキー焼けたよー』」
立ち上がったことかは肩をすくめた。
「ま、それがいいところなんじゃけどね」
二人の元へと向かったことかは白と黒のコントラストのクッキーを一枚取りぱくりと食べた。のかなの入れたお茶を飲みながらまったりとする。
途中、お茶を飲むのかなの顔があまりに幸せそうで口の中の物を吹き出しかけたがなんとかことかはこらえ、これはなかなか面白いのでしばらく秘密にしておくことにした。
ふと、めろんがデバイスを見て笑みを浮かべている事に気付いたのかなは不思議そうに聞いた。
「『めろんちゃん何やってるの?』」
「んー、“まほっち”」
「『まほっち?』」
ほら、とめろんがのかな達にデバイスの画面を見せる。そこにはデジタル調のかわいい動物がカラフルな部屋の中で動いていた。
懐かしそうにことかが語る。
「あー、これね。魔法少女本人のトレーニングや戦闘で成長していくっていうペット育成ゲーム。私の時は“ぽけまほ”って名前じゃった。結構中毒性が高くて、数々のトレーニング廃人を生み出した罪深きゲームじゃ。あまりに熱中しすぎて実際の戦闘でも手柄を焦りすぎるヤツが居たからウチのチームでは一時期禁止になるくらいの人気じゃった。見知らぬチームともこれがあれば話ができるから色々と助かったもんじゃ。懐かしいなぁ」
しみじみとすることかにめろんは聞く。
「じゃあ、ことかちゃんも何か凄いペットを持っているのかな?」
にやりとしたことかは不敵な笑いをする。
「ふっふっふ、愚問じゃな。これでも私は即売会で自作の攻略本を販売するくらいのやりこみ勢。進化パターンは一部以外すべて網羅した! そんな私が繰り出すまほモンはこれじゃ!」
ばん、という効果音と共に展開されたことかの画面にはかわいらしい部屋の中に正気が削られそうな見た目の正真正銘のモンスターが存在していた。
「オメガベルテルス! 分類不明系の中でも最高難度の進化条件を持つまほモンじゃ! 凶悪な見た目の割に従順でかわいいヤツなんじゃよ。油断すると正気をごりごり削ってくるんじゃけどね」
「なんか凄そうだね、のかなちゃん」
「『う、うん…………』」
若干引き気味ののかなの反応を見たことかは不機嫌になる。
「なんじゃ、のかな。文句でもあるんか。どれ、お前のまほモン見せてみい!」
「『あっ!』」
のかなからデバイスをひったくったことかが取り返そうとするのかなを片手で押えながらすばやくデバイスを操作する。
そして宙に映像を投影するとそこには着ぐるみのような不気味なクマが存在していた。
「『うぷぷ、おみゃーら、こんなげーむにまじになっちゃってどうするの?』」
「しゃ、喋った!?」
驚くことかに不気味なクマは続けて言う。
「『やあ、ぼくダーくまです。おそらくぼくを出せるような人は毎日一人でトレーニングにあけくれてるような寂しい人だからぼくが友達になってあげるよ、のび子ちゃん』」
「こ、こんなまほモン聞いたことがないんじゃよ!? ま、まさか伝説の…………!」
「『はぁはぁ、そんなに見つめられると興奮しちゃうよ。よし、おみゃーら、ウチに来てぼくの妹をファ』」
無言でことかからデバイスを奪い取ったのかなは勢いよく電源を切った。
「『…………見なかった事にして』」
その時、ことかは何故このまほモンがいまだかつて誰も見たことが無いのかを理解した。
「しょ、正直すまんかった…………」
なんとも言えない微妙な空気が流れた。
その後、しばらくお茶をして二人は家路につく。夕暮れ時の太陽を体に受けながら他愛の無い話をする。のかなはふと遠くの空を見上げた。暗くなり始めた空には星が見え始めている。すっ、と天に手をかざしたのかなは掴み取るように手を閉じる。
(やっぱり届かないな、星には)
かつてのかなが目指した魔法少女というものは戦うための存在ではなかった。求めていたのは誰かを助けるためのほんの少しの奇跡だった。与えられた物は破壊のための力でしかなく、そのギャップにかつてのかなは苦しんだ。
破壊のための力でも使い方次第だということは分かっている。それでもこれを正しい物だとは思わない。人には大きすぎるのだ、魔法の力は。
(強さだけを目指していたらきっとその果てには何も無い。強さはおまけじゃなくちゃいけないんだ。魔法少女としてのおまけじゃなくちゃ…………)
めろんはとても強かった。信じられないような量の魔力と最新鋭の装備。精神的な面でみても素直さ、純真さ、どれをとっても優れている。まるで魔法少女になるために生まれてきたかのような人間だ。
(私もあんな風だったら見捨てられなかったのかな?)
――――才能。
どこまで行ってもその言葉にのかなは悩ませられる。いくら努力しても素質のある者は容易くその先に行く。魔法少女は才能の世界だ。まず魔力が無いと話にならないし、あったとしても適性がなければろくに魔法も使えない。だというのにのかなはその重要な物を両方とも持っていなかった。それどころか吃音というマイナスすら持ち、正真正銘の落ちこぼれだった。
おそらく誰かに殺されなくても、自らから居なくなっていたようなそんな存在だ。のかな自身もあの戦いを生き残れるとは思えなかった。だが、何故か今魔法少女としてここに居る。
彼がそうさせたのだ。あの憎々しくも懐かしい彼が。
(嫌なやつだった。すぐに人の事を馬鹿にするし、肝心な事を言わないし、家の中でも帽子は脱がないような自分勝手なやつだった。だけど言う事は全て正しかった。そのおかげで今の自分がある。そして何もかもが正しかったから、あいつの最後の言葉が胸に突き刺さる)
何が悪かったのか分からない。最高とはいえないまでも良い関係だったはずだ。それなのにあの突然の別れ。理解などできるはずがない。
(真実を知りたい。それが例えどんなものでも、知らなければいつかきっと後悔する。もう後悔はしたくないんだ)
あの時のような後悔はもう二度と…………。