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太陽と不死炎の少女  作者: 木戸銭 佑
スケィリオン編2:完璧なキッスをして
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エピローグ

 結局の所、何も覚えていない。だが、知らないという事はそれほど不快ではなかった。世界を混乱に陥れた集団昏倒事件も何カ月もすればもうニュースにもなりはしない。何もかもが過ぎ去って行く。忘れていく、そうやって人は生きていく。

 まどろみの中で奇妙な夢を見ていた気がする。懐かしくて、でも思い出したくないような昔の記憶。何があったのだろうかと思いを馳せても、それはとりとめもなく霧散していく。

 でも、不思議と気持ちが良かった。何か熱い物がこみ上げて、さっと心の中に清々しい風が吹き込んだ。

 忘れてしまってもいいのだろう。大切な事だとしてもいつまでも持っていたら重いから、無くしてしまってもいいのだろう。自分の中に無くても、それはきっとどこかで形を変えて生き続けるだろうから。

 子どもだって自由に何かを描く事はままならない、きっと何もかもがどこかで見たような誰かの模倣(エミュレイト)に過ぎない。けどそんな事、誰だって本当は分かっているんだ。

 それでも子どもが純粋で自由だと言い続けるのはそれが空白の『(から)』などではなく、限りなく広い『(そら)』だからだろう。心の中の風景を『(そら)』に解き放つ時、それはもう誰かの模倣(エミュレイト)などではない、世界という巨大な絵を描く欠片の一部なのだから。

「待たせたじゃん?」

「いいや、それほどでもない」

「遅れちゃうわよ、急いで」

「ふふっ、まだ時間に余裕がありますよ。落ちついてください」

 雑踏の中でのかなは足を止めて空を見た。先日までの雨が嘘のような晴れ間が眩しくて、目を細めて手で日差しを作った。

「あっ、のかなちゃん」

「ん、何か見えるんか?」

 光の放射の中に一瞬幻を見て、夢のように束の間消えていった。それにそっと微笑み、のかなは仲間達の元へと走った。

「行こっ、ラー=ミラ=サン」


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