第九話
甘いです、
激甘だと思います、
ゴーヤチャンプルーなどの苦めの食べ物の御用意をお勧めします、
では、
何時間寝たのだろうか?
頭がボンヤリし、まるで深海の草原に居るような夢心地が、
未だ、頭の周りに巻きついて居る、
意識と言う風船はまだ萎んだままだ、
恐らく、頭蓋骨の脳みそはしなびて居る、
水分を与えなければ。
既に窓から入って来る日の光は赤く染まり始めていた、
まだ明るいのに無性に懐中電灯が欲しい欲求に駆られる、
これは長年の戦場での習慣だ、
起きる時は大抵見張りか、まだ夜が明けぬ朝方の為、起きた途端に懐中電灯が必需品になる、
「んんっ…クソ、懐中電灯……」
ボサボサの意識がまだ膨らんで居ない頭をかき回し、
無駄だとわかって居ても、今回も懲りずに懐中電灯を探す、
手をまるで草をかき分ける様に動かして探す、
すると、突然手に暖かさが伝わる、
人間、自分以外の暖かさを知った時、結構心を安心をさせるのだ、
しかし、妙だ、手に伝わるのは暖かさだけではなく、
まるで何かが脈をうって居るみたいに微振動も伝わってくる、
ふと脳裏に浮かんだのは、
最近魚屋を襲撃した一匹の三毛の泥棒猫だ、
盗んで行ったのはイワシ3匹、
中々のやり手だった、
「イワシはあげないぞぉ……。」
カラカラに乾いた喉からやっとこさまともな声が出た、
そう呟くと、
猫(仮)を撫でてやった
つか、
魚は冷蔵庫の中の魚団子しか無いし(笑)、
てっきり撫でてやったら『マーォ』と鳴き声が返って来ると思いきや、
替わりに『ンっ…』と言う甘い声が返ってきた、
頭の中を疑問符、クエスチョンマーク、クエッションマーク、耳垂れ、はてなマーク、インテロゲーションマークが、
走り回る、
それこそ、大運動会の様に、
ついでに『何?』と言う言葉も駆け巡る、
混乱して居るうちに、
一つの結論にたどり着く、
『懐中電灯を探さねば』
人間って恐ろしいと思う、
急いで(実際は寝起きなのでゆっくり)もう片方の手で枕元を一生懸命に探す、
コツと言う感覚と共に急いでバッと構え、
猫(仮)を照らし出す、
漸く、自分の状況かわかったのはその時だった、
見る見るうちに顔が紅潮し、
血液ポンプの心臓の振動が脳にまで伝わる、
視線の先には特徴的な発展途上の峯(それでも意外と大きい)が二つ、
その片方を自分の手で包み込んで居た、
未だに頭の周りには深海の草原が巻きついて居るが、
芝刈り機で全て刈ってやる事にした、
「あ、あの、エルン…さん?」
同じく顔を紅潮させたラシルがもじもじしらがら名前を呼ぶ、
よっぽど恥ずかしいのか、
目の視線は見当違いの方を向いて居る、
「と、トイレですか?」
「(コケッ)、…違います、あの、その、…手を…」
「…猫だと思ってこうやって撫でてました…。」
「ン!、そ、それ以上は…」
「…ごめん、」
「その、…責任、取ってください、」
「……………………、へ?」
「だ、ダメですか?」
「へ?え?…、ま、まさか、」
「ダメですか?」
「………………………わ、わかった。」
一通り話終わると、
二人はお互いの影を重ねながら再び布団の海へ沈み込んだ、
二人とも、微笑みを浮かべて、
若いって、
良いね、
『コレイジョウカカカナイノカ?』
書く訳無いだろ、
検閲に引っかかったらどうするんだ?
『ヘタレ!ヘタリア作者!』
やっぱ部外者はだまらっしゃい!!
言うまでもないが、
言っておくと、路地で死闘が始まった。