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第五話


「出兵?」

「そう、天皇陛下直々の命令文がここにはあるわ、」

ピラピラと、

国防軍元帥から渡された手紙を空中で舞わせる、


てか、

ちょっと待て、ポルシェティーガーが出兵だと…。


「…ラシルさん?改めて言っておくが、急発進と急ブレーキは厳禁だぞ?」

言っておくが、

ポルシェティーガーを泥道や不整地で急発進して見ろ、

あっと言う間にダックイン戦術になってしまう、

夢のない言い方だと、地面に自らからめり込んで行くのだ、

この前急発進した、てか、出来たのは道が石橋だったからだ、

そうでもなけりゃあっと言う間に捕虜になって居た、


急ブレーキもそうだ、

消耗品だからってバンバンブレーキをかけていい訳ではない、

今も国防軍司令部で砲弾とその他のパーツ、特に足回りとブレーキ、砲弾を優先的に試作中だ、

もっとも、この国には8cm級の高射砲が有るから砲弾は群を抜いて開発が進んでいる、

その為か、元帥が、

『次期戦車は8cm高射砲を積む!』とまで言い出したのは別の話だ、

本人曰く、

『8cm高射砲を積めば同盟国のダッチラント共和国にも負けない戦車が出来る!』との事、


ちなみに、

そのダッチラント共和国の最大口径数は17ポンド砲と同じ、

構造や性能まで同じだった事には流石に驚いたが、


今回は南平原中央演習場と言う所まで行かなければならないらしい、

首都が有るのが北平原、その下、つまり南に有るのが町の郊外と言う事もあり、演習場となって居る南平原である、

意外と近いのが不幸中の幸いかな?


「今回は、…えーと、新式の突撃砲?が出来た為の演習と、視察、つまり、性能を確かめる為の試験走行らしいよ、写真これね、」

「国家機密なのに写真まで有るのが意外だな…。ん?、確か、何処かで見た様な…」

「本当か?」

「……あ、これあれだ、フィンランドのBT-42だ、主力戦車は暫くはコイツになりそうだな。」

砲塔から見える街並みを見ながらペラペラと喋るエルン、


「高性能なの?」

「あったりまえだ、機動力抜群、砲は口径114mm、ただ、装甲が薄いぐらいだ、俺はコイツに一度助けられた時があったな、」

「へー、詳しんですね、」

「だって友軍誤射は出来るだけ避けたいからな、」

他愛ない話に花を咲かせて、

ポルシェティーガーは南に向けて進む、


暫くは森、森林、雑木林などが視界を遮って居たが、急に視界がひらけ、

友軍の戦車が見えた、

つまり、ここは南平原だ、


一際目立つポルシェティーガーを他の兵は今回の新兵器と勘違いしたらしく、

『写真と違うぞ』

と口々に言い合う、

向こうのテントでは既に元帥などがひしめき合って居る、

『あーだ、』

『いや、こーだ』

と意見交換が行われてた、


「はい、ゆっくりブレーキを、よし」

ガックンと車体が揺れ、

堂々と甲一型重戦車の横に並ぶ、


甲一型重戦車の乗員も目を見開いて驚いて居た、


『あーあー、テステス、感度良好、これより新型の突撃砲の試験をはじめる、変わりましては今回の開発に携わった技師一同からの性能の説明です、』

何時間にも及ぶ技師一同の説明を聞き流し、

今回初めて導入されな新技術(元の世界で言うクリスティーサスペンション。)や、

大口径砲を積んだこと、

機動力がどうとかこうとか…


知って居るエルンは実に退屈そうにキューポラから半身乗り出してあくびをする、

他の乗員は自分の戦車の前にたち、目をキラキラ輝かせながら話を聞く、

もちろん、第675特別戦闘組も真剣に聴いて居た、


「…まだかな…。」

半分諦め顏ねエルンがキューポラの中にに消えて行く、


目が覚めた時はちょうど技師一同の演説が終わり、

新型の突撃砲がエンジンをふかしていた、


「はは、BT-42だ、懐かしいや」

懐かしさにかられて、

自然と顔を緩める、


クルスクの戦いの際、

嫌味ったらしい上官が自分のⅢ号戦車と共に配備し、

前線に突撃させられた経験が居る、

機動力は既にこの身をもって体験して居る、

だから、あの戦いを生き延びれたのだ、


「正式採用決定だな」

その言葉通り、

試験走行などが終わると、

甲二型快速戦車として採用さるた、


その後は間伐入れずに直ぐに集まった戦車戦力を第9地区と第8地区に移動する様にとの命令が下り、

今まできた道を逆戻りする、

まだポルシェティーガーのサスペンションは大丈夫の様だ、


「さて、俺たちの番だ、バカッ‼急発進するな‼」

余程気分が高ぶっていたのか、

ラシルは一気に操縦レバーを倒す


『あ‼』

気づいた時には、

キャタピラが地面をほじくり返し、

サスペンションがガガガといやな金属音が車内に響き出す、


「やった、……全員で掘り出すぞ、シャベルと太い木材を持って来い、」

そこから、

およそ2時間近く苦戦したのは言うまでもない、

何しろサスペンションも気にしなきゃならないのだから、


「そこの木をこっちに2本持って来い、バカッ‼差し込まなくていい‼サスペンションがぶっ壊れる!ラシルさん!そのままゆっくり発進して下さい!」

「は、はい、」

空冷エンジンが発電し、

推進用の魚雷流用電気モーターがうねりを上げる、


暫くはこの非力なモーターで我慢しないといけない様だ、


「よーし、そのまま、そのまま、よし!資材片付けるぞ!」

漸くポルシェティーガーはダックイン戦術を脱したのだ、

夢の無い言い方をすると、

自らから掘り起こした墓穴から漸く這い出たのだ、


他の戦車隊から遅れること2時間15分、

ポルシェティーガーは漸く北進を開始した、




次回へ…



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