第十五話
「こい、こい、いいぞ、もっとだ、」
キューポラから見える光景にエルンは拳を握る、
外の偽装網陣地の兵員は顔面蒼白でこの光景を見ていた、
何しろ攻城砲が目の前を通っているのだ、
『ア』
『ヤベ!』
『パンクシタ!』
「うぬぬぬぬ……、今パンクかよ、クソ」
車輌のタイヤが凹んでいた、
明らかに空気が抜けたことを表している、
「オイ!若造!!外の連中が限界だぞ!!」
「分かってます!でも待ってください、まだ奴らの最後尾が渓谷に入ってないのですから!」
「クソ、どん亀共が…」
にしても、
攻城砲の口径がやけにでかい、
まるで臼砲だ、
『戦闘準備!』
「元帥!?」
『歩兵達が発狂寸前だ、勘弁してやって欲しい』
「………、分かりました、」
エルンが指示を出し、
8.8cm砲弾を装填する、
ちなみに作者は戦車戦をそんなスピーディーに表現したくないたちである、
スピーディーに出来るとしたら現代の主力戦車か、
矢川さんとこのエーテル八九式である、
あれは八九式にエーテルエンジンを積み、その分装甲を増やした最強の八九式だ、
しかし、主砲が変わらないのでやはり歩兵支援、
もしくは下瀬火薬改こと、矢川火薬を使っての対戦車戦闘になる、
しかし、作者が思い描くのは、
湿地帯の平原で両方の岸からバカスカ撃ち合い、
どちらが先に動くかの一か八かの賭けをやっているそんな光景を、
頭の中に何度も思い浮かべた、
そして、どちらかが先にブチ切れ湿地帯にハマり込み、泥まみれに成りながらも奮戦する、
そんなマンガ映画的なのをやりたいのだ、
「渓谷だぞ、泥濘関係なくないか?」
ゴホン、
別にいいだろ、
作者の好きにやらせろよ!
「ウルサイナー、作者が好き勝手にやると酷くなるから、やるなら今度やれ、」
言ったなこの野郎!
VK3001(P)絶対出すからな!!
「役に立つならな、タメ口男の戦車には懲り懲りなのでな!」
コノー、
ナマイキナー、
絶対出す!!
やったねバルト君!君はまた泥まみれになれるよ!!
「それは勘弁な、」
そうやって作者とエルンが口喧嘩している間にも、
戦闘準備は順調に整っていく、
『撃てええぇぇぇぇぇッ!!!!!!!』
無線から元帥の元気な掛け声が飛び出す、
そこからは一方的だった、
奇襲に近い形でエルバニア運搬装甲車を各種の砲弾銃弾が襲う、
両方からの挟み撃ちには流石のエルバニアでも陣形を崩した、
「うーむ、土煙が酷いなぁ、ちょっと偵察に行く」
そう言うとエルンはキューポラから飛び出し、
途中の駅でかっぱらったケッタマシーン(自転車)にまたがり、
土煙に消えた、
「畜生、状況がイマイチわからん」
そして、
BT-42がある自走砲の区画に辿り着く、
この頃になると敵から機銃弾の弱々しい返事が帰ってくるが、
生身の兵士にとってはとても恐ろしいのだ、
「アテ!アチチ!チチチ!!」
さっきから足元に機銃弾が当たる、
「チチチ!!あ、あれは?」
エルンが土煙の向こうに見た光景は、
何とか攻城砲が発射準備に入っていたのだ、
恐らくはその大口径にものを言わせて両側の敵陣を薙ぎ倒す気であろう、
「ヤバイよヤバイよ!何か方法を!」
そう言って、
エルンは後ろを見た、
弾薬補給車が忙しく砲弾を下ろしていた、
「拝借!!」
その内の一発と信管を箱から抜き取る、
「き、君ーッ!!!!!!!」
呼び止められたが気にしない、
信管を砲弾に捻りこみ、
感度を設定し、それをやり投げの要領で投げる、
見事に投げた砲弾は命中した、
どうやら榴弾だった様だ、
砲台はあっという間に歪み、
使用不能になる、
『ウワー!アイテモベテランダ!!』
砲台が潰れた事で敵部隊に動揺が走る、
これをきっかけに敵部隊は崩れ去るのである、
そして、渓谷を万歳三唱がいつまでも響きわたっていた、
これからは、
大八洲の番だ
次回へ…




