一人二役するんですか?
短編を予定しております。また、これの更新は他の作品と比べてかなり遅めになるかも知れません。ご了承ください。
「……」
「……」
重い。沈黙が重い。
とりあえず何かしゃべってほしい。
「お母さん…あの、」
「声まで低い…!!」
「うん…」
お母さんは撃沈した。
机につっぷして、なにやら肩をふるわせている。
もしかして、この姿から別居中の夫を思い出してしまっているのかもしれない。お父さんには元々似ていたから、今はもっと似ているはずだ。
「………いい」
「へ?」
「いい、可愛い!やっぱり男の子もほしかったわね。でもこれでいいわ!一石二鳥!いや、一人二役!」
「ちょっと違うような」
母はがばっと起き上がると、私の身体をぺたぺた触ってくる。やめい。
まあ、気に入ってくれたようなのでいい。普通気味悪く思うだろう。
「でも、ちょっと困った」
「なぁに?」
「学校どうしよう」
「…あ!」
そうなのだ。私は女子校に入っている。このままじゃあ学校から退学を言い渡される。
「…この際転校しようか。兄さんに言えばなんとかなるかもしれないわ」
「あ、そっか。うん、お願い」
…うーん、お母さんはやっぱり変人だな。普通はもっと焦ったり困ったり気持ち悪がったりする。
娘がいきなり息子になった…とか。